ヤクザと付き合った過去
ある夜、不良っぽい青年がソファに腰を落とした。ミクが知っている地元の先輩だった。
着崩したファッションをしていたが、それがよく似合っていた。
地元の先輩は毎日、店にきてミクを指名した。
1カ月間、毎日来店した。
しばらくして付き合いだした。
彼はミクにシャネルやルイ・ヴィトンといったブランド品を買い与えた。
付き合いだしたころ、彼は自分はヤクザだと打ち明けた。
ミクはなんとなくそんな予感がしたので、さほど驚きではなかった。
彼は落ち着きがなく、いつも戦闘モードでヒステリックだった。
新聞紙にくるんだ棒状のものを「これ、保管しておいてくれ」と頼んできた。
開いてみると日本刀だった。
ヤクザとかかわりたくない
所属する組が抗争を起こすと、彼が持って帰ってきた。
いつも何かにいらつき、怒り散らす男にミクも限界にきたので「別れたい」と切り出すと、彼はプレゼントしてくれたバッグや服を包丁で切り裂き、火をつけた。
「だからヤクザに対するイメージがよくないです。かかわりたくないです。でも、エレベーターとかで会うじゃないですか、そういう人たちと。ぜんぜん優しいっていうか。うちの子どもたちも、マンションの下とかで遊んでもらってました。おじいちゃんみたいなヤクザもいて、話しかけてもらったり」
一番下の子の父親がヤクザマンションを借りてくれたのだった。
「わたし、家が遠かったから通うの大変だろうと。それからずっと住んでた。結婚してないけど、ずっと住んでたんです」
ヤクザとキャバ嬢は親和性が高く、彼女たちの彼氏がヤクザという率は高い。
女っぷり、男っぷりを競う世界で生きているせいか、相性が合うのだ。
きっかけは「風変わりな風俗」
ミクと知り合ったのはいまから20数年前、ある総合月刊誌でとある殷賑地帯のルポルタージュを発表することになり、風変わりな風俗に潜入取材した。
逆夜這いプレイだった。
客の私がホテルのベッドに目隠しして寝ているところに、風俗嬢がそっと侵入してきて、私をいろいろ責めるという、90年代に入って派遣型風俗で急速に流行した、男が受け身になるプレイの一つだった。
それから何年が過ぎただろうか。
ある日、私が取材場所の喫茶店に入り、空席を見つけて座った。
すると後ろの席にいた女性と視線が合った。