現代のビジネスパーソンが抱えるリアルな悩みに「理論」と「笑い」で答えを与えてくれるビジネス書『理不尽仕事論 「クソが!!」と思った時に読む本』。元DeNAの人材育成責任者で、ビジネス系YouTubeで大活躍中の坂井風太さんと、人気お笑いコンビ「春とヒコーキ」のぐんぴぃさんとの掛け合いが面白くて役に立つと話題を呼び、4月の刊行以来、版を重ね続けています。

 今回は人材育成のプロである坂井さんに「令和の理不尽仕事論」をテーマに「文藝春秋PLUS」でお話を伺いました。リーダーなのに決断を下せない「役職鎮座マン」の心理と、職場で「闇堕ち」しないためのヒントとは?(全2回の1回目/続きを読む

【令和の理不尽仕事論】管理職の闇堕ちを防ぐために|役職鎮座マンにならないためのマインド|Z世代が感じる「ネタバレ感」の正体【坂井風太】

(初出:「文藝春秋PLUS」2026年5月18日配信)

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決断できないリーダー「役職鎮座マン」

――坂井さんのキャッチーなワードセンスも今回の著書『理不尽仕事論』の魅力のひとつですが、中でも特にイチオシの言葉はありますか?

坂井風太(以下、坂井) いろいろありますが、「役職鎮座マン」(「坂井の補講(1)役職鎮座マンにならない」に登場する坂井さんオリジナルのワード)ですね。

坂井風太さん

 これは自戒も込めているのですが、役職というものに固執しすぎてしまい、決めるべきことを決めない人のことを指しています。リーダーの仕事とは最終的に「決断」ですが、データに基づく合議制の「合理的判断」だけでは決めきれない問題が必ず出てくる。例えば一時的に収益が落ちたとしても、倫理的・道徳的にはこちらを選ばなくてはいけない、などという時です。そうした状況では、リーダーに決断の軸や「自分ならできる」という「リーダーシップ自己効力感」がないと、決断が鈍って組織が硬直化してしまいます。

 ただ、「決断しないこと」を完全に否定的に捉えているわけではありません。例えば、決断をしない人には、その決断の結果、自分が役員から外れて雇用が不安定になるとか、家族を守りたい気持ち、誰かに迷惑をかけたくないという思いなどがあったりするわけです。決断できないことの裏には、その人の守りたいものや事情があるということもちゃんと書きたかったんです。

『理不尽仕事論 「クソが!!」と思った時に読む本』

――では、決断できるリーダーになるにはどうすればいいのでしょうか。

坂井 私はもともと小説が大好きなのですが、宮本輝さんの『流転の海』という作品に「自尊心より大切なものがないと、大きな仕事はできない」といった意味の言葉が出てくるんです。これを大学1年生の時に読んで、本当にそうだなと思いました。人は自己保身や「自分がどう思われるか」「嫌われないか」という自尊心を大事にしすぎて決断が鈍ります。自尊心よりも大切な、お客さんへの誠実性や普遍的な道徳を大事にしないと、決断を誤るリーダーになってしまうのです。