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別れたい
それからさらに数カ月が経った初夏、私は学会のために横浜に出張した。学会発表が終わり、先輩医師と食べログ百名店に選出されている焼き鳥屋で舌鼓を打っていた。
彼女にもこの店の焼き鳥を食べさせたい。そう思って写真を撮り、LINEにメッセージを打ち込んで送信する。
[このテリテリ具合! 焼き鳥、美味!]
すると入れ替わるように彼女からのメッセージが届いた。
[別れたい]
たった一言、まるで学生が交際を終わらせるかのような軽い言葉だった。
学会発表を無事終え、美酒を堪能していた私の酔いは一気に醒めた。もしかしたらとその可能性を感じながらも、騙し騙し頭の片隅に押しやっていた現実が突然、真正面から襲いかかってきた。
メッセージを見た瞬間から、あれほど美味かった焼き鳥は味を失った。隣で焼き鳥を味わっている先輩の邪魔をしてはいけないと、心ここにあらずで世間話を続けた。目の前に並べられた鳥の死骸を片付けるためだけにひたすら咀嚼して飲み下した。先輩からの二次会の誘いを断り、足早に滞在先のホテルに戻った。
部屋に入ると上着も脱がず、妻に電話をかけた。