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どんどん増える酒量
離婚した年、東北地方には数年ぶりの寒波が到来した。厳しい寒さがいっそう身に沁みた。日々降り積もる雪のように孤独と寂寥感が重なった。
最初はささやかな現実逃避だった。
勤務を終えて自宅へ戻り、いつもの銘柄のビールを1缶飲み干した。私にとって研修医時代からやっている「一日を終わらせるための儀式」だ。
それが1缶にとどまらなくなった。部屋の静寂に抗するように、2缶目、3缶目を立て続けに開けるようになっていった。3缶目が空になるころには、頭がフワフワと軽くなり、彼女の幻影を追い払うことができた。
酒量はまたたく間に増えていき、次第にビールでは満足できなくなった。もっと早く、効率的にすべてを麻痺させたい。私はウイスキーのボトルと強炭酸水を買うようになった。濃い目に作ったハイボールが喉を通るときに残す刺激とそのあとにやってくる酔いが私の慰めとなった。このときだけは言葉にならない心の傷みを忘れることができた。酒による自己治療だった。
