葬儀は家で密葬、斎場は絶対だめ
桃子 北海道の別荘に行った時も、車の中でビリー・ジョエルやビートルズを聞いていました。祖母は70年代の洋楽が好きでしたね。出棺前にはビートルズをかけてほしいということだったので、母に曲を選んでもらって「ばあさん葬式用プレイリスト」を作りました。
響子 ポール・マッカートニーが好きで「ポルマー」って呼んでました(笑)。
桃子 だからポール作曲の曲が多めです。
佐藤さんは90代になって、終活ノートを作り始めたという。『九十歳。何がめでたい』がベストセラーになるなどまだまだ元気で、「終活ブーム」の風潮に乗ってのことだった。「葬儀は家かお寺で密葬、斎場は絶対だめ」が基本で、葬儀に呼ぶ人とハガキで知らせる人のリストも書いた。
響子 10人ずつほどのリストでしたが、だいぶ時間が経っていたので半分近く亡くなっていて。
桃子 参列いただいたのは兄のサトウハチローの孫にあたる方、私の父の親族、あとは編集者の方が2人、ヘアメイクさん、名古屋のお医者さん、元お手伝いさん……。本当に何十年来の古いお付き合いの方ばかりです。
響子 葬儀を近所の方々にも知られたくないということだったので、参列者には「いらっしゃる時は、明るいコートを上に着てきてください」とお願いしたりもしました。
桃子 結果的には、連休で留守にされている家が多くて助かりました。
響子 騒がれたくなかったんです。30年以上前ですが、漫画家の長谷川町子さんの死が1ヶ月後に公表された時、「羨ましい。ああいうのがいいね」と親しかった作家の中山あい子さんに話していました。
桃子 母が喪主として「これだけの方が集まってくださり、故人も喜んでいると思います」と挨拶をしました。泣きながら喋って聞き取り辛い程で、あんな母を初めて見ました。
