ストレスで顔半分が動かなくなり……

響子 口が曲がっていたのもあるね(笑)。

桃子 祖母が亡くなった翌日から、突然、母の顔半分が動かなくなったんです。半分固まっていたから、口も相当曲がってました。

響子 突発性難聴などと同じで、強いストレスで発症するんだそうです。飼っていた猫が3月26日に亡くなり、1ヶ月後に母。二つが重なってのことだと思います。

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桃子 入院しなくてはいけなかったのですが、連休で、入院先が見つからなかったのもあり、薬を飲みながらの葬儀になりました。

響子 私の中に母の言いそうな言葉のカケラがいっぱいあって、喪主挨拶の時は「顔曲がりの喪主には参ったね」と聞こえてきました。緊張している私を笑わせようとするんです。

桃子 みなさん、涙していました。

響子 出棺の時も一言と言われたので、「おばあちゃん終わったよ、全部終わった。大変な人生だったけど、何もかも終わったからね」と言いました。

棺に納めた手紙と執筆道具

同年代で仲の良かった作家の中山あい子と。

桃子 前の日、ばあさんへ手紙を書いたんだよね。

響子 便箋7枚に書いて、棺に納めました。「いろいろ心配する人だけど、私のことは心配する必要はない、上り調子の時は傲慢になるかもしれないし、下り調子になれば世の中を恨むかもしれない。起伏があるとは思うけど、それが生きるということで、生きることは絶対に諦めないから心配しないでくれ」と書きました。

 母のことを書いた『憤怒の人』も渡していなかったのでそれも入れて、母ととても親しかった編集者の方が書いてくださった書評も一緒に納めました。

桃子 葬儀の最後に原稿用紙と鉛筆を納めました。その時、祖母の施設に何度も訪ねてくれた元お手伝いさんが……。

響子 寄せ書きだと勘違いして、何かを書こうとして。違う違う、おばあちゃんが書くためだからって(笑)。

桃子 率先して書こうとしていたね。かなりご高齢の方なんですけど。

響子 棺の母の顔のところに近づいて、「先生、目を開けてくださーい」って言っていたので、「今、目が覚めたら彼女のドアップが目の前にあるから怒るだろうなー」と思いながら聞いてました(笑)。