「趣味は100キロ歩くこと」――そう答える人が、じわじわと増えている。

 丸一日、ときには夜を徹して、40キロ~100キロの“超長距離”を制限時間内に歩き抜く。近年、日本各地で次々と開催され、人気を集めているのが「ウルトラウォーク」や「100キロウォーク」などと呼ばれるウォーキング大会だ。

 乗り物なら1時間強、マラソンでも超人たちが挑むような距離を、ただ己の足だけで一歩一歩進む。一見すると過酷極まりないこのイベントは、一体どんな魅力で人々を引き寄せるのだろうか。

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 そんな疑問を探るべく取材したのは、ウルトラウォーカーの一人としてYouTubeでの活動を続ける「長距離さんぽ。」さん。ほのぼのとしたBGMとともに長距離を“歩き抜ける”姿が、多くのファンから支持されている。

ウルトラウォーカーの「長距離さんぽ。」さん(YouTubeより)

 普段は登山を愛する52歳のシステムエンジニア。なぜウルトラウォークの世界に足を踏み入れ、今や月1ペースで全国の大会を巡るようになったのか?(全3回の1回目/つづきを読む

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初めてのウルトラウォーク大会で体験した「究極の非日常」

――ウルトラウォークを始めたきっかけを教えてください。

長距離さんぽ。さん(以下、長距離さん) もともとの趣味は登山でした。高尾山~陣馬山の縦走から始まり、飯能アルプス、塔ノ岳・丹沢山・蛭ヶ岳といった長距離コースに好んで挑戦していたんです。

 そんなとき、ネットで偶然目にしたのが「鶴ヶ島100キロウォーク」の広告でした。山で培った「長距離を歩く楽しさ」を、今度は平地でも試してみたい。そう思ったのが、最初の一歩でした。

2022年に初めて参加したウルトラウォークの大会(YouTubeより)

――最初の大会では、どのような準備をされましたか。

長距離さん 100キロという距離を歩いたことが一度もなかったので、事前に山手線一周(約40キロ)を歩いたり、大会コースの前半40キロを下見したりして練習を重ねました。

 ただ、最長でも40キロしか経験がなかったので、本番前は正直、距離への不安が膨らむばかりでした。

――実際に歩いてみて、いかがでしたか。

長距離さん 想像をはるかに超える感動がありました。沈みゆく夕日に向かって土手を歩き、陽が落ちて真っ暗になっても夜通し進み続ける。そして早朝、だんだんと白んでいく空の下で、今度は街を歩く。刻一刻と表情を変える景色の中で、まさに「究極の非日常」を体験したんです。

夜明けまで歩き続ける(YouTubeより)

 足は猛烈に痛くなりましたが、20時間弱で“完歩”できました。そのときに湧き上がった達成感は、これまでの人生で味わったことがないほど強烈なものでした。