人生の残り時間を考える50代や60代にとって、「終の住処」は切実な問題です。

 料理研究家・上田淳子さんに転機が訪れたのは2020年。コロナ禍で夫の在宅勤務が増えたことで、それまで築いた生活リズムが乱れるように。数年後に迫った子供の独立・夫の定年を意識し始め、「このままではいけない」と、56歳での住み替えを決断されました。

 夫婦2人でストレスなく暮らすため、間取りもいろいろと工夫を凝らしたようで――。『週刊文春WOMAN 2026夏号』より、一部を抜粋してご紹介します。

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これさえあればというものだけを残して、捨てに捨てました

右から、上田淳子さん、渡辺満里奈さん、野宮真貴さん、松本孝美さん。

渡辺 フロア全体がバリアフリーになっていて、キッチン、水回りと家事動線がいろいろと考えられていてとっても暮らしやすそう。

松本 1階には上田さんのキッチンスタジオがあって、外階段でアクセスする2階がご夫婦の生活の場、その上の3階がご主人の書斎、ということですよね。

上田 夫婦それぞれの“基地”を設けたことで、前の家よりも建物全体の面積は増えたんです。ただ、2階の生活スペースは、楽に暮らせるようマンションタイプの1LDKにフルリノベーションしました。リビング&ダイニング、キッチン、寝室、お風呂、クローゼットなどがありますが、前の家よりもグッと狭くなって、キッチンは半分の広さにしたんです。

渡辺 上田さんの本(『今さら、再びの夫婦二人暮らし』)でお写真は拝見していたんですが、実際おじゃまさせていただくと、思っていたよりもコンパクトだなって。そして、恐ろしいほどモノがない!

上田 住まいのダウンサイジングが目的の一つだったので、捨てに捨てました。これさえあれば生きていけるというものだけを残して。