夫の定年というタイムリミット

右から、上田淳子さん、松本孝美さん。

上田 何か切羽詰まった状況がないと、なかなか難しいんです。特に、ご主人がいまのお住まいに満足されているとなおさら。うちは幸いなことに、夫が会社員でしたから、定年して毎日家にいるようになると大変なことになるぞ! っていうタイムリミットがあったんです。私はキッチンを使って仕事をする人間なので、撮影隊がやってきたり、生徒さんがやってきたりが日常茶飯事。夫は仕事が忙しくてほとんど家にいない人だったから、それまではなんとかなっていましたが、定年して毎日家にいるようになってしまうとこれは破綻するなって(笑)。

松本 いまはご主人の部屋がありますが、前は?

上田 なかったんです。そもそも部屋数的にも子供たちがいると無理でした。だから、このままだといろんな問題が起こってしまう、住まいの形を変えなくちゃいけないなって。リフォームか住み替えか。もうまさに2020年、コロナに入ってすぐのことでした。

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野宮 コロナで旦那さんが家にいるようになって?

上田 そう。“いる”ってこういうことかと(笑)。しかも息子たちはコロナの頃は大学生。いままで日中家にいるのはほとんど私一人だけだったのに、4人もいる! って(笑)。

定年後にゆっくり決めたい夫にプレゼン

夫の恭弘さんの書斎。前の家主は建具職人だったそうで、雪見障子などの和室の雰囲気を残してリフォーム。定年退職後も編集者としての仕事を続け、壁一面にびっしり本が並んでいる。

松本 厳しい(笑)。

上田 厳しかった。そんな状況を打破したくて、夫に相談したら、僕が定年してからでいいんじゃないかと。定年後にゆっくりいろんなことを決めようと。いやいや定年してからでは遅すぎますと。当時夫は60手前。定年まであと5~6年あったんです。その間に破綻する可能性が出てくるなと。

渡辺 切羽詰まった(笑)。

上田 詰まりました。夫はかなり怒っていたんですが、こちらが主導でやりますのでお願いしますと。夫婦のより良い将来のためにそれぞれの“基地”をつくり、生活の場はダウンサイジングして、年を取っても過ごせる家事動線のいい家にしたい、予算はこのくらいで考えています、つきましてはご協力いただけませんかと。プレゼンしました。

女史会 プレゼン!

上田 夫は出版社に勤務する編集者なので、本の企画を出して通すようにプレゼンするのが有効だと(笑)。

女史会 すごい!