その要因しては、もちろん「Jポップ」という、新しい言葉、使い勝手のいい上位概念が登場し、「ロック」がその軍門に降くだったことが大きい。

加えて、たとえば破れたデニムの上下に身を包み、こぶしを振り上げて「オーイエー!」と叫ぶようなステレオタイプの「ロック」に対する抵抗感が発動されたことも影響したはずだ――「ロックって、ダサいよな……(半笑)」。

そんな「ワンオブゼムとしてのロック」のあり方を象徴するのが、あいみょんの『君はロックを聴かない』(17年)という曲だったと思うのだが、それはともかく。

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時代が一巡したのだろう。00年生まれ、つまり20世紀と21世紀の継ぎ目のような年に生まれた若者の音楽は、「君はロックを聴かない」時代に「ロック」という空白地帯に堂々と入場し、1つの国を築いた感がある。

『怪獣の花唄』に見るロック感

まずは、とにかくサウンドが気持ちいいのだ。わかりやすく、シンプルに気持ちいい。

ドラムス、ベースギター、歪ひずんだエレキギター。音の数が少なく、楽器と楽器の間に空間を感じさせるスカスカなアレンジがまたいい。楽器と楽器、音と音をとにかくツメツメに詰め込んだ平成Jポップの対極となる。

ボーカルについては、日本語の発音がかなり歪んでいることが、矢沢永吉、桑田佳祐、佐野元春の正統的な後継者だと感じさせる。

ちなみにVaundyについても1曲選んでおけば、21年の『踊り子』である。とにかくこの曲はイントロだ。ドラムスとベースだけ、スカスカなアレンジの中で、リズムがぐんぐんドライブする。こんなドライブ感、聴いたのはいつぶりだ。キャロル以来じゃないか?

比較的、記憶に新しいのは、22年の紅白で披露した『怪獣の花唄』(発表は20年)だろう。ギンギンで痛快なサウンドをバックにチリチリ頭にパーカーという(ある意味「ロック」への批評性を感じさせる)出で立ちで「そんなもんかい、紅白。行けるよな。行くぜ、ニッポン!」と、いかにも「ロック」な感じで煽(あお)って、視聴者の驚き(そして少しばかりの失笑)を喚起した。