「あいつ、先月孫が生まれたんだよ」
沖縄育ちの作家・神里純平氏が見たのは、大人になっても暴走族を卒業しないかつての仲間。なぜ30代半ばを過ぎても「生涯現役」を掲げ、10代に混ざって街を暴走するのか? 神里氏の新刊『あなたの知らない 怖い沖縄』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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成人式後も大人になりきれない直也
では、成人式後にも大人になりきれない者はどうしているのか。地元の友人、直也の話をしよう。直也はどこの地域にもいる、愛すべきどうしようもないやつである。
暴走族時代の直也は、とにかくバイク好きだった。「俺は生涯現役だから」という言葉をやたらと使っていたことも記憶に残っている。
2010年代のある日の明け方、地元のコンビニで直也と再会した。私たちはもう32、33歳になっていた。
「直也、久しぶりだな。今、仕事は何をしてるの?」
「あれ? 純平知らなかったのか? 俺は1回も仕事したことないんだけど」
直也はそう言い、豪快に「わっはっは」と笑った。この発言には目が点になったが、本人は恥ずかしいという感覚もないのか、至って普通である。
言葉に詰まった私は「これからどこか行くのか?」と聞くのがやっとだった。
「純平、知らないのか? 今日は、○○(パチンコ店の名称)の新台入れ替えの日だよ」
そう言って直也は再び豪快に笑った。
私もつられて笑ってみせたが、顔はひきつっていたと思う。10分ほど話して、直也の生活パターンがだいたいわかった。
