少年たちをむしばむ薬物

 昔の覚醒剤には、明らかに「あちら側」の空気があった。暴力団、注射器、逮捕、破滅。そういう言葉がすぐについてきた。普通の中学生や高校生が気軽に近づくものではなかった。

 ところが今は違う。薬物は、電子たばこの形をしている。仲間内の動画に映っている。軽い冗談のように名前を変えて呼ばれている。危険なものほど、日常の顔をして近づいてくる。

 私はもう一度、少年に聞いた。

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「けど、みんな中毒になってるじゃん」

 少年は少し笑った。

「そうなんですよ。それだけが問題なんです」

 その笑い方が、妙に耳に残った。

 深刻さをわかっていない笑いではない。むしろ、わかっているからこそ笑っているようにも見えた。自分たちの周りでおかしなことが起きていることを知っている。

 しかし、それを大人に説明できるほど言葉を持っていない。だから笑う。沖縄の少年たちの薬物汚染の怖さは、まさにここにある。