佑太 そのシスターは、一馬が国立がん研究センターに入院している時、病室を回って話を聞いてくれる方でした。僕はそのシスターの人柄が大好きで、よく話を聞いてもらっていました。 

 一馬が亡くなって半年ぐらいした時、そのシスターから「オンラインでいいから、話をしよう」と連絡がありました。そこで、「悲しみに蓋をしないでね」と言われたんです。

「悲しみに蓋をしないでね」シスターから言われた言葉の意味

――「悲しみに蓋」とは? 

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佑太 「悲しみに蓋をして、見ないようにして誰かのためにと活動にのめり込む人は、いつか蓋が開いて動けなくなって潰れてしまう。あなたたちにはそうなってほしくない」と。 

――シスターは、佑太さんと麻純さんを心配していたんですね。 

佑太 子どもを亡くして、すぐに行動する人は、すごく稀みたいです。群馬県立小児医療センターで開催されている遺族会(大切な人を亡くした人がつどう場)にも、僕はすぐに参加しました。 

 でも参加者の中には「病院に向かう道を通れるようになるまで10年かかった」という人もいて。 

 だからなおさら、心配してくださったんだと思います。たしかにシスターの言葉は胸にグサリと刺さりました。でも、活動する手を緩めませんでした。 

 

夫婦、それぞれの悲しみへの向き合い方

――それは、なぜですか。 

佑太 「僕は一馬の死に蓋をしていない」って思ったからです。だって、生きている間も、天国に旅立った後も、一馬のことばっかり考えてきたから。なんなら向き合いまくっている。じゃないと、本になるほどの闘病記録は書けないです。

――「行動すること」で無理やりにでも向き合うことを選んだんですね。一方、麻純さんはご自身の悲しみとどのように向き合ってこられたのでしょうか。 

麻純 私は夫のようにすぐに発信することはできなかったです。でも、キッチンカーを始めて当事者の方から「ありがとう」と言われることで、息子の悲しい出来事が人の役に立っていると実感できるようになりました。 

 今はグリーフケア・アドバイザーやアロマセラピストの資格を取って、大事な人を亡くした方の心と体のケアを行っています。