おうえんチケットの前で涙を流す人も…キッチンカー利用者の反応とは?
――利用者の方からは、どんな声が届いていますか。
麻純 「入院してから、初めてまともなご飯を食べました」と言ってくれる方もいますし、なかには「今日、子どもがガンだと告知されました」というような、混乱の最中に来る方もいます。おうえんチケットの前で涙を流される方や、「唯一、ここのご飯だけは食べられます」と言ってくださる方もいました。
精神的に参っている時にこのチケットの優しさに触れると、やっぱり、すごく心に沁みるんですよね。
――自然と、利用者との会話も広がりそうです。
麻純 私たちも同じ経験をしているからこそ、「いつから入院ですか?」とか「治療はどんな感じですか?」と聞けるし、相手も私たちのことを知ってくださっているからか、話してくれるんです。自然と寄り添える会話ができるのは、大きいです。
――キッチンカーを出しているなかで、印象に残っているエピソードはありますか?
佑太 病院の食事が全く食べられない中学生の子が来たことがありました。聞いてみたら、「担当の先生から『何でもいいから、何か食べられるものを食べて。外食してきてもいいよ』と言われた」と。それで病院を出たら、目の前にうちのキッチンカーを見つけたそうです。
そうしたら、その子は僕らの塩むすびをパクパクと食べ始めたんです。「お米ってこんなに美味しいんだ」と言っていました。そこから、その子はご飯が食べられるようになったそうです。
今後は法人化を目指し、フランチャイズすることも視野に入れている
――最後に、今後の取り組みについて教えていただけますか。
佑太 今はまだ、個人事業としてキッチンカーを含む活動を行っていますが、続々と「付き添い入院中の人を応援する活動をしたい」という声をいただいているので、今後は法人化を目指し、フランチャイズにすることで、そういった方々をサポートしていきたいと思っています。
――日本各地の病院で、付き添い者の方にキッチンカーで食事の応援をする仲間を増やしていく。それが目標なんですね。
佑太 あとは、企業のCSR活動として取り組めるような仕組みづくりも検討しています。案外、それが一番広まりやすいんじゃないかなと思っています。
――今の活動をしなくてもいいようになることが、ゴールなのかもしれません。
佑太 本当にそうです。いつまで続くか分からない治療には、お金の心配がつねにあります。国や病院からの支援で当たり前に温かい食事が提供されて、入院の付き添いをする家族が仕事を休んでも保障があるような、そんな社会になったら最高だと思います。
撮影=石川啓次/文藝春秋
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。




