「わかっちゃったのよね。ずっとばかにされていたんだなって」

「お姐さんは、私がヘソを曲げただけと思ったかもしれないけど、違うの。私、わかっちゃったのよね、ずっとお姐さんにばかにされていたんだなって」

 そうだろうか? と思ったが、私は口には出さず、「お姐さんには、きちんとA子さんの気持ちを伝えたのですか」と尋ねた。するとA子さんはこう答えた。

「伝える必要ある? 私のことを理解して、気持ちを考えてくれる相手なら、こんなことにはならなかったと思うしね」

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 帰りの電車の中で私は、彼女が語ってくれた「お姐さんとの別れ」を反芻した。

 そうしているうちに、「なるほど……」という思いがこみ上げてくる。A子さんがお姐さんに抱いた気持ち、他方お姐さんの気持ち。自分の身に起こった出来事ではないし、特にお姐さんについては想像でしかないけれども、どちらの気持ちもわかる気がした。

 誰かの離別の話を聞くと、少しずつではあるが、自分を客観視できることに気づいた瞬間だった。