その貸元は総長(僕の親分だった人です)の兄弟分で、若いころからずいぶん可愛がってもらいました。義理がありますので葬儀に参列させてもらうと、そこで総長の実子やその舎弟など、組織の昔の仲間に会いました。彼らは口々に「(組織に)戻ってこないか」と誘ってくれました。

 あの日、しっかりやれよと送り出してくれた総長。

 極道に戻ることは、その思いを裏切ることになるのではないかと僕は悩みました。でも、現実的に考えて、仕事がない今、借金を返す方法は他にありません。僕は普通の、幸せな家庭をもう一度手に入れるため、極道に戻ることを決意したのです。

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出戻りヤクザの悔しさ

 僕が堅気で過ごしていた間に、後輩だった若い衆が幹部に昇進しているなど、組はかなり変化していました。彼らは出戻りの僕にかなり気を遣ってくれましたが、僕自身は悔しさがありました。

 組織に戻った僕は、ワイズ社という広告代理店を立ち上げました。

 当時、よく飲みに行くなど、付き合いのあったスナックなどを回って、求人広告やお店の広告を募ります。それらを印刷して、新聞などに折り込んで配りました。

 紙の表と裏で広告枠は25件くらい。枠の大きさに応じて5万円、8万円、10万円といった感じで広告料を設定しました。当時、水商売系の広告を掲載する場所はあまりなかったので喜んでもらえて、1号あたり80万円以上の利益が出ました。