「ちょっとルール違反じゃない」

「アキちゃん、○○さん(オーガニックマーケット)には、うちとはまた別の種類のパンがあるって聞いたんだけど、本当?」

 実際に、オーガニックマーケットの顧客からのリクエストがあり、数種類多めに納品をしていました。その通りを話すと、房枝さんは少し厳しい口調でこう言いました。

「それはちょっと、ルール違反じゃないかしら。あまり細かいことはこれまで言ってこなかったけれど、うちを通してやってくれていると思っていたのよね。言うなれば、ラパンのパンって、アキちゃんたちと、うちのカフェとのコラボ商品じゃない? オーガニックマーケットさんもそういう安心感があるから、あなたたちのパンを置くようにしたと思うんだけど。うちを飛ばして、どんどん商売を広げられるのは、ちょっと、どうかと思う」

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 コラボ商品? 私はその言葉に少し違和感を感じました。自分たちのアトリエで作っているのですから、パンは夫と私のブランドです。しかし、確かにカフェでの販売を提案してくれたのは房枝さんでしたし、カフェのキッチンもお借りしなければ、最初の一歩を踏み出すことはできませんでした。オーガニックマーケットとの関係をつないでくれたのも……、一瞬のうちにそこまで考えて、私は言葉を飲み込み、あわてて房枝さんに謝ったのです。

「ごめんなさい、房枝さんにはものすごくお世話になっているのに、失礼なことをしてしまって。オーガニックマーケットさんとの取引は……」