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「いや、やめろなんて、言ってるわけじゃないのよ。ただ、きちんと話してほしかった。うちのカフェでも、何かリクエストをしたら、作ってくれたのかなとか、いろいろ考えてしまって」
「もちろん、房枝さんが食べたいパンを、旦那に作らせる。なんでも言って? 房枝さんには、お礼をしてもしきれないほどなのに、嫌な気持ちにさせてしまって、本当にごめんなさい」
彼女の機嫌は取り戻したけど…
その次の納品日、私は近くの農産物直売所で果物をたくさん買い込み、お詫びにもっていきました。
房枝さんの機嫌はそのときにはすっかり直っていて、オーガニックマーケットとの取引はそのまま続けてもよいということになり、ほっとしました。
オーガニックマーケットでは、納品したパンをすべて買い取ってもらっていました。房枝さんのカフェでは、売り上げた分だけの金額をいただいて、売れなかったパンはそのまま房枝さんに差し上げていました。
それがせめてもの私たちからの誠意だと思っていたのですが、実際には、どれくらいパンが売れていたのか、よくわかりません。「ごめんね、ほとんど売れなかった」というLINEがきたこともあります。
夫は「カフェのお客さんはみんな俺のパンに飽きちゃったのかな」と肩を落としていましたが、オーガニックマーケットでの売り上げはよかったので、毎週腕を振るっていました。