線路沿いの通りは、西に向かって急な下り坂になっている。天王寺駅やあべのハルカスがあるのは上町台地という高台の上にあり、そこから低地に下るのだ。ただしJR線やそれに並行した天王寺支線は、台地を切り裂くように掘割の中を走っているから、線路の高さは変わらない。
陸橋で見下ろしていた線路と肩を並べる高さに下ったところで、天王寺支線の跡はJR線から離れて南西に向かう。JR線から離れる場所に小さな道があった。が、入ってもそこは行き止まりのどん突きだ。廃線跡もフェンスに囲われて、中を覗き見ることすらできない。ちなみにこの場所に、かつて大阪環状線で唯一という踏切があったという。
ここから東横インの敷地の中を抜けて通りを南西に渡ると、その先では廃線跡の敷地がそっくりそのまま空き地になっている。だから辿るのは容易いのだが、どこもフェンスで守られているから、中に入ることができる場所はほとんどない。ここが廃線跡だと知らぬものからすれば下町を貫くナゾの空き地、といったところだろうか。
細かすぎる路地に“ナゾの段差”
廃線跡はところどころで道路と交差する。道路といっても、とてもクルマの通れないような細い路地ばかり。それが台地の下のこの町の性質を表しているといっていい。人がすれ違うにも肩が触れあいそうな細い道。それより高い場所を廃線跡が通るところがあるのは、きっと屈んで通るのもやっとの低いガードになっていたからだろう。
線路が町の区画を無視して(というより、歴史的には線路が先に通って後から町ができた)通っていたから、廃線跡に並行して辿れるような道もない。細すぎる路地を右往左往しながら、フェンスの向こうの廃線跡を追いかけてゆく。


