覚せい剤を克服

 過去を受け入れ、前に進むために痛みと向き合う。

 いまの僕にはそのことが必要だということがわかったのです。

 ご祈祷を終えた僕の心は、霧が晴れたようにすっきりとしていました。

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 あれほど頭がいっぱいになっていた覚せい剤も、いまはちっともやりたいとは思いません。僕はスマートフォンを取り出すと、連絡帳から後輩の電話番号を削除しました。

 その日から僕は覚せい剤を断ちました。

 悪い仲間と連絡を取ることもなくなりました。

 三浦さんはあるとき、僕に『北風と太陽』の話をしてくれました。

 北風と太陽が、ひとりの旅人の外套を脱がす争いを始めました。北風は思いっきり冷たい風を吹き付けましたが、旅人の外套を吹き飛ばすことはできませんでした。太陽は逆に温かい光で旅人を照らしました。暑くなった旅人は外套を脱ぎました……。

 三浦さんは話し終えると、僕に「佐藤さんも太陽のようになってほしい」と言いました。僕にとって三浦さんこそが太陽のような存在でした。

写真はイメージ ©AFLO

 誰かを温かく照らして、良い方向に導いていく。

 三浦さんの話を聞きながら、僕もそういう存在になれたらと強く思いました。