人を癒す場所であるはずの医療現場で行われていたのは、醜い権力闘争による内紛、医療ミスの隠蔽、医療従事者を蝕む違法な労働管理の数々でした。「週刊文春」が総力をあげて伝えてきた“医療現場の闇”を振り返ります。
国立病院「看護崩壊」138人の告発「家族は絶対入院させない」
「とにかく看護師の数が足りない。大きな医療事故につながりかねなかった場面がいくつもあり、いつか患者を殺してしまうと思う」
「患者さんが生きているかどうか確認するだけのような日々。こんな看護がしたかったわけじゃないと、転職していく同僚も多い」
そう悲鳴を上げるのは、国立病院機構に属する病院の看護師たちだ。
国会でも問題に 国立病院看護師101人が告発 ブラック労働「本当の元凶」
2週にわたって報じた国立病院機構の看護師たちの“ブラック労働”は国会でも問題に。そして、小誌に届く告発の声は止まらず、ついに100人を超えた。“看護崩壊”の危機は、なぜ放置され続けるのか。その元凶に迫る。
史上空前の「文春リークス」
先週2月8日水曜日の夜、私はメールの転送に忙殺されていました。かつてないほどの「文春リークス」が届いていたのです。テーマは看護師の労働環境について。
その日、電子版で配信した記事〈看護師大量退職 国立病院の総本山は労基法違反だらけ〉に関するものでした。12時に電子版を配信し、16時に文春オンラインにスクープ速報〈「日々辞めたいとばかり…」東京医療センターで看護師の16%が退職、さらに半数が退職希望 労働基準法違反の疑いも〉を掲載したところ、東京医療センターや同じく独立行政法人・国立病院機構の傘下の病院の看護師さんたちから投稿が殺到したのです。
妊婦も夜勤、年休・育休NG、大量退職…全国140の国立病院で横行するブラック労働を看護師36人が告白
先週号で東京医療センターの大量退職、労基法違反を報じて以降、同じ国立病院機構で働く看護師から続々と悲痛な声が届いている。コロナ禍で奮闘する看護師たちの過酷な実態を徹底調査し、浮かび上がってきたのは――。
【音声番組】国立病院の総本山で“看護師が大量退職” 一体何が? 看護師らが証言した「労基法違反だらけの内情」《記者が解説》
独立行政法人・国立病院機構東京医療センターで、看護師の大量退職が起き、医療現場が危機に陥っていることが「週刊文春」の取材でわかりました。看護師への処遇を巡っては、労働基準法違反違反の疑いがかかる複数の事例があるとの証言も入手しています。旧海軍の軍医学校病院を起源に持つ国立病院の総本山とも言える同病院で一体何が起こっているのか? 担当記者が解説します。
看護師大量退職 国立病院の総本山は労基法違反だらけ
「職員が調査したところ、昨年4月から1月までの間に、退職・休職を合わせて看護師が100人も減っていた。病棟は満床、看護師はスカスカ。一言でいうと『地獄』です」(病院幹部)
駒澤大学駅から徒歩15分ほどの閑静な住宅地にある東京医療センターが、非常事態に陥っている。
産婦人科界のトップ・旭川医大教授の反対で旭川の助産所で1年半出産ができない事態に
「北海道旭川市ではもう1年半もの間、助産所でのお産ができない状態が続いているのです」
こう訴えるのは、旭川市で助産所を営む北田恵美さんである。
医師の大量退職で腎臓医療が危機に 大学病院を牛耳る島根大OBの“恐怖支配”
「院内はまるで“戒厳令”が出ているようで、互いに疑心暗鬼で監視しあっているような感じです」
そう話すのは、島根大学医学部附属病院(以下、島根大病院)の関係者だ。
島根大「白い巨塔」事件 腎臓医療の名医が退職、他の医師も一斉退職へ 背後に異例の教授選
「あの先生がいなくなったら、島根の腎臓医療はどうなってしまうのか……」
そう危機感を抱くのは、島根県の腎臓内科医・A医師だ。
〈遺族と心臓血管外科学会名誉会長が告発〉国立国際医療研究センター病院が”医療事故死”の調査を拒否
「今から1年8カ月前、国際医療研究センター病院の心臓手術で兄は亡くなりました。4時間の予定だった手術は11時間続くなど不可解な点が多々あった。私たちは医療事故調査制度に基づく調査を求め、その過程で重大な証拠も手に入れました。にもかかわらず、病院側は『第三者機関による原因究明は必要ない』と拒否し続けてきた。私たちからすれば、医療事故を隠蔽されたという想いです」
筆者の取材にそう憤りを露わにするのは、兄(70代前半)を失ったAさんだ。
「中川医師会長はコロナ患者を見殺しに」職員5人が告発 経営病院で3人死亡、34人感染は「人災」
「医療機関では徹底した感染防止対策を実践している」。そう胸を張っていた日本医師会の中川会長。しかし、自らが理事長を務める札幌市の病院ではクラスターが発生していた。一体、何が起きていたのか。小誌の取材に応じた職員たちが口々に明かした裏側とは――。
日給6万円も…医師会がワクチンで荒稼ぎ “手当て”は自衛隊の20倍、コロナ対応病院は今も…
「医師や看護師も不足したままです。ワクチン接種には行政から協力金が出ていますが、接種を行っているのは、多くが中小の病院。開業医の皆さんです。私たちには関係ありません……」
そう語るのは、新型コロナウイルスの患者を受け入れている大病院の関係者だ。
医師会に入らないとワクチンが来ない!現役医師が告発 日本医師会の暗部
「当院では東京都の要請に基づいて、医療従事者向けのワクチン接種を行っています。次に高齢者向けの接種を行うべく、先日、中央区保健所にオンラインで申請をしました。ところが、時間が経っても何の連絡も来ないため、5月20日に保健所に電話をしたところ、医師会所属のクリニックじゃないと認められない、との返答でした」
旭川医大学長 クラスター病院に「なくなるしかない」〈暴言音声〉
「11月頭に、旭川市内の慶友会吉田病院でクラスターが発生しました。同病院は療養型の病院で、高齢者や末期患者で全介助が必要な患者が多く、旭川にある5つの基幹病院でコロナ患者を引き受けねば立ち行かない事態に陥った。しかし5病院のうち、国立旭川医科大学病院だけが患者を受け入れようとしなかったのです。理由は大学のトップに君臨する吉田晃敏学長(68)が『受け入れは許さない』と言ったためでした」
こう証言するのは、旭川医大幹部のA氏だ。
慶応研修医 入院中に豪語「テキーラで消毒」
「PCR検査で陽性となった研修医たちは、慶応病院に隔離入院中です。症状が軽いからか、修学旅行気分で楽しんでいる研修医もいて、呆れています」
慶応病院関係者はそう嘆いた。
慶応病院「集団感染」を招いた研修医40人「10時間打ち上げ」と「キス写真」
「今日の会に来てくださって、ありがとうございます。話のはずみで『慶応』とか言わないようにしましょう」
外苑西通り沿いのビル地下1階にある隠れ家のようなダイニングバーに、20代半ばの男女が続々と入っていく。
そして、幹事のあいさつと共に、盛大な打ち上げパーティーが始まった――。
「週刊文春」を支える“最強法務チーム”が怒った
絶対に負けられない戦いが、そこにはある――。
それが、埼玉県日高市にある産婦人科「太田マタニティクリニック」(現・令和レディースクリニック)との裁判でした。
黒いマタニティクリニック 母子突然死と謎の中国人 遺族が実名告発
「赤ちゃんを水に浸け、窒息させた」。3週間前に小誌が違法中絶問題を告発した太田クリニックには、その後、埼玉県が調査に入った。そんな中、妻子を亡くした夫と、娘が植物状態のままの母親からも告発が寄せられ、さらに、謎の中国人を巡る金銭疑惑も……。
“黒いマタニティクリニック”に埼玉県が立入検査に入った!
「数々の疑惑にきちんと答えようとしない院長の姿勢には愕然としましたが、同時に、あの人らしいな、と妙に納得もしました。地元では医者の権威は絶大です。警察でも動かない限り、このまましらばっくれるつもりなんでしょう……」
告発者の一人、元助産師のC子さんはこう嘆息した。
赤ちゃんを水に浸け、窒息させた 黒いマタニティクリニック 違法中絶を告発スクープ!
その医師は、妊婦たちにこう囁きながら違法中絶を繰り返していたという。「これは君の犯罪なんだからね。捕まるのは君だよ……」。小誌に届いた、「黒いマタニティクリニック」に関する情報の数々。2カ月にわたる取材の結果、驚くべき実態が明らかになった――。
長らく胸に仕舞い込んでいた思いを打ち明けるのは、産婦人科「太田マタニティクリニック」(以下、太田クリニック)に長年勤務していたA子さんだ。
慶応大医学部「20億円詐欺」疑惑を名誉教授が実名告発
〈公的研究費詐欺と言っても過言ではありません〉。衝撃的な文言が書かれた関係省庁への告発文書。不正が疑われる研究の舞台は私大医学部のトップに君臨する名門・慶応大学。出したのは、その慶応の名誉教授……。期待のリハビリ機器を巡って一体何があったのか。
source : 週刊文春