書籍「僕が夫に出会うまで」
2016年10月10日に、僕、七崎良輔は夫と結婚式を挙げた。
幼少期のイジメ、中学時代の初恋、高校時代の失恋と上京、
文春オンラインでは中学時代まで(#1〜#9)と、
自分がゲイであることを認めた瞬間から,
物語の続きは、ぜひ書籍でお楽しみください。
だが、悩みぬいたはずのその決心は、周りの意見に簡単に振り回されてしまうこととなった。次の帰省で親にカミングアウトをする事を周囲の人に話すと、反対する人が多くいたのだ。
「なんのために親にカミングアウトするの? 親を傷つけるだけじゃないか」
「自分を偽らなくて済むためだけに、親を悲しませるなんて自己中じゃないか」
「いい人ができて、日本で同性婚が認められてからカミングアウトした方がいいんじゃないか」
「私が息子からカミングアウトされたら、ショックすぎる。ななぴぃは友達だからいいけど、それが息子だと考えたら知りたくはない」……。
みんな僕を想って言ってくれているのはわかっている。だけど、そんな話を聞いていると、まるで自分の親を傷つけてでも、自分の生きやすさや、自分の幸せを優先させる悪人のように、自分が思えてきてならなかった。ただ、ゲイに生まれたことを、親にも知ってもらいたいだけなのに。
親にカミングアウトしようと思った僕は、自己中なのか。たしかに、自分の理想の未来のために、親を傷つけるなんて、自己中としか言いようがないのかもしれない。
年上のゲイの人にも話を聞いてみることにした
一度は母親へのカミングアウトを決意した僕だったが、またもや何が正しいのかわからなくなってしまった。僕はもっとたくさんの人の情報が必要だと思い、ネットで見つけたゲイ向けのイベントに参加をして、年上のゲイの人にも話を聞いてみることにした。ありがたいことに、そういったコミュニティが多くある時代に僕は生きているし、この頃の僕はそういった集まりに、抵抗なく参加することができるようになっていた。