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「薬物依存の生々しい実態を知って」 ジュリア・ロバーツの思い

ジュリア・ロバーツ(女優)――クローズアップ

2019/05/25
note

薬物依存症の生々しい実態

「この問題は、最近では統計学的に論じられるようになってきた。でも、この映画は、何人が苦しんでいるかという情報ではなく、その生々しい実態を認識してもらう機会を提供しているの。依存症の人がいることで家族に何が起こるのか。それを家族全員の立場から見つめているのよ」

 更生を誓うたびに挫折するベンと、そんな息子を絶対に見捨てない母。ピーター・ヘッジズ監督は「母の愛にはかなわない」と語るが、ロバーツは「男親にはわからないということではないわ」と、これまた切って捨てる。その一方で、貧困シングルマザーだった自らの母との間には、特別な愛の絆があるという。

©2018-BBP WEST BIB, LLC

「私はいつも母を尊敬してきた。でも、自分自身が母親になって、『ママはどうやって仕事と両立できたの?』と尋ねて、『保育園に預けただけよ』と言ってくれた時には、もっと好きになったわ。私の方がずっと恵まれた状況にあるのに、『あなたが何を言うの』なんて言わなかったから。大変なのはみんな同じ。自分にできる中で最善を尽くせばいい。理想を保っていられる魔法なんてないの」

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 それはまさに仕事と子育てに悩む人への魔法の言葉。100万ドルの輝きを持つのは、笑顔だけではないのだ。

Julia Roberts/1967年米国生まれ。4歳のときに両親が離婚。リチャード・ギアと共演した『プリティ・ウーマン』(90年)が大ヒット、スターの座をつかむ。『愛がこわれるとき』『ノッティングヒルの恋人』など数多くの映画に出演。2001年、『エリン・ブロコビッチ』でアカデミー賞主演女優賞を受賞。

INFORMATION

『ベン・イズ・バック』
5月24日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開
https://benisback.jp/

「薬物依存の生々しい実態を知って」 ジュリア・ロバーツの思い

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