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豊島将之名人が史上9人目の快挙! 将棋界「三冠王」の歴史を言葉でふりかえる

「もうひとつ加えて過半数に」、「すぐに取られては意味がない」

2019/05/25

羽生に先んじて十八世名人の称号を得る

 その羽生から次々とタイトルを奪ったのが森内である。2003年11月27日に羽生から竜王を奪う(対羽生のタイトル戦初勝利)と、翌年の3月16日には王将を奪取し(羽生が11年ぶりに三冠から二冠へ転落)、さらには2004年6月11日に名人も羽生から奪って、三冠王に輝いた。

2004年、羽生から名人位を奪取して三冠王に輝いた森内俊之 ©共同通信社

 だが羽生も負けてはいない。森内が四冠を目指して挑戦してきた王座戦で跳ね返すと、2005年の2月に王将を奪回し、またその同月には棋王戦で谷川を破って、あっという間に四冠(王位、王座、棋王、王将))に復帰した。

 そして森内は竜王を渡辺に奪われ、最後の一冠となった名人も羽生の挑戦を受ける。だが、ここでは底力で羽生の挑戦を跳ね返し、以降は名人を連覇。羽生に先んじて十八世名人の称号を得ることになった。

将棋界史上初の三冠王対決となった

 2004年に初タイトルの竜王を獲得した渡辺は、その後も竜王戦で連覇を続けたものの、他棋戦ではそれほどの実績を残せていなかった。だが、2012年の竜王戦で9連覇を達成すると、翌年には王将と棋王を相次いで奪取。2013年3月24日に、史上8人目の三冠王に輝く。

 そして2013年に行われた第84期棋聖戦は羽生棋聖(王位・王座)に渡辺が挑戦するという、将棋界史上初の三冠王対決となった。ここでは羽生が防衛するが、翌年の王将戦では羽生の挑戦を渡辺が退けた。

 羽生の三冠(以上)時代は前述の1993年1月6日~2004年3月16日のあとは、2005年2月10日~2007年9月26日、2008年6月17日~2011年6月22日、2011年9月13日~9月27日、2012年10月4日~2017年8月30日となる。

2017年7月11日棋聖戦4局で、斎藤慎太郎七段(当時)に勝ち、棋聖を防衛した羽生。現時点では、これが最後の三冠防衛となった ©相崎修司

 羽生の天下が長く続いた何よりの指標ともいえるが、2017年には王位を失冠のあと、王座も失った(棋聖のみの一冠となる)。直後の竜王戦で渡辺を下して永世七冠を達成するも、この時点での複数冠保持者は二冠の羽生がただ一人ということもあり、棋界戦国時代の到来を予兆させるものであった。

まさに現代の頂上決戦ともいえるシリーズ

 そして2018年。豊島が棋聖、王位を相次いで奪取し二冠達成。羽生は棋聖に続いて竜王も失い27年ぶりの無冠となった。年が明けた2019年は渡辺が王将奪取と棋王防衛で豊島に続き二冠となる。

2009年、10代で棋界随一の難関「王将リーグ」入りを果たし、渡辺明と対局する豊島将之 ©相崎修司

 そして冒頭で触れたとおり、豊島は名人も奪取して三冠となった。間もなく始まる第90期棋聖戦五番勝負には自身初のタイトル防衛がかかるが、その相手が二冠の渡辺である。まさに現代の頂上決戦ともいえるシリーズだ。

 充実の両者が三冠を懸けてどのような戦いを見せるか、実に楽しみである。

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