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特集観る将棋、読む将棋

2019/06/04

深浦さんは、粘りの師匠みたいな方です

――深浦先生! 居飛車党ですよね?

「深浦さんの居飛車のあの粘りは驚異的だと思ってます。『居飛車でどうやって粘ってるんだ!?』と。

 居飛車で粘っても、ゆっくり倒れていくだけだと思うんですけど……そこをしっかり立ち直ろうとするので。それは昔からですね。

 私が20代の頃、東京にいた時にVSしていたんです。研究会で久保-深浦戦をやって、僕が飛車得くらいになるときがある。それでも深浦さんは粘ってくるんですけど……」

――研究会で!? 序盤の研究をしたりするから研究会なわけで、普通は形勢が離れすぎたら投了すると思うんですが……。

「『研究会だし、飛車得だし、これ以上やっても意味あんのかなぁ?』って思うんですけど……そういう気持ちで将棋指してると、やっぱりおかしくなってくる。

 それで『ああ……そうか。研究会の時からこういう将棋を指さないといけないのか』と自分も粘るという意識を持ったので、粘りの僕の師匠みたいなもんです(笑)」

――粘りのアーティストには師匠がいたんですね!

「でも本当に勉強になりましたね。そこからやっていかないと、本番で粘れない」

5月25日に行われたイベント「天下分け目の関ヶ原」では武将姿も披露した ©白鳥士郎

居飛車側から局面を考える脳内ひふみんアイ

――ところで振り飛車党同士が研究会をする時……たとえば菅井竜也先生とVSをされる際などは、久保先生が居飛車を持つこともあるのですか?

「そうですね。基本的に僕は、研究するときは居飛車の側からしか見ていないので。いつもと違う景色から見たいんです。対局中はそれができませんからね。僕はちょっと、ひふみんアイできないんで(笑)」

――ふふふ。対局中でも居飛車側から考えたいと思う時もあるんですね?

「逆から見ると、同じ局面でも景色が違ったりするので。私の場合は……裏に回って見るわけにもいきませんから、目を閉じて頭の中で盤をひっくり返して。

 だから対局中に目を瞑って、じぃ~っとこう俯いて考えてる時は、だいたい局面を逆にして考えてる時です」

――居飛車党になってるんですね!

「居飛車党なんです。脳内ひふみんアイ(笑)」

――ははは! 最近注目しておられる振り飛車の戦法などございますか?

「戦法、ですか。最近だと先手中飛車の細かな工夫などは、よく見ていますね」

菅井竜也七段とともに揮毫する久保。二人とも振り飛車党、関西所属という共通点がある ©白鳥士郎

制圧して勝つというのは、本当に大変で……

――菅井先生との対談では、角道を閉ざす四間飛車……井出先生の、居飛車穴熊に組ませてから攻略するような振り飛車に注目していると語っておられましたが。

「いやぁ……できたらやりたいんですけどねぇ。やっぱり穴熊に勝つのは大変なので。研究はいつもしてるんですけど」

――振り飛車側が完封しないと勝てないと、対談でもおっしゃっておられました。

「そうですね。制圧する勝ち方しかできないので。斬り合うと、やはり玉が遠い方が勝ってしまいますからね。制圧して勝つというのは、本当に大変で……」

――トマホークはいかがですか? あと、後手番角頭歩とか。

「ああ、トマホークも興味を持って見ています。角頭歩も、おもしろいですよね」