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効果が実証された「精力剤」を求めてアメリカへ

 香港で成果を得られなかった青木氏は、次にアメリカに飛んだ。「試験データが揃った展示会がある」という話を聞き、06年3月、彼は米アナハイムで開催された世界最大の展示会「ナチュラルプロダクツ・エキスポ」を訪ねた。ここで絞り込んだ商品は、二つ。

「一つは、イチョウ葉です。脳の血流改善、ボケ防止に効くものとして知られていますが、社内で却下されました。もう一つが、ピクノジェノールです。フランス南西部の海岸で栽培されている松の樹皮抽出物で、1000キロもの樹皮からわずか1キロしかとれない貴重な成分です。EUでは医薬品として用いられています」

 青木氏はフランス南西部に足を運んだ。

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「フランス政府が莫大な予算で植林を行っており、海岸の植林地帯には近代的な抽出工場があります。同じ建屋でシャネルがバラの香料を抽出していました」

©iStock.com

 小林製薬はすでに女性用として、ピクノジェノールの商品を販売している。カテキンとセットで、月経前症候群の緩和や、抗酸化作用によりアンチエイジング向けに販売。ほとんど売れていなかった。

 そのピクノジェノールを男性用にするために配合したのが、アルギニンである。アルギニンは脳下垂体に作用して成長ホルモンを分泌する。また、一酸化窒素が発生するため、血管が拡がる。陰茎血流を改善し、勃起を促すのだ。

女性にストップウォッチをもたせて実証セックス

 ところが、ここで壁にぶつかった。社内モニターを集めて、人間を使ったテストを通過しなければならないのだが、誰もやりたがらない。記名による試験を恥ずかしがるという、極めて日本人的な理由だった。

 ちなみに、海外の医薬品メーカーの実験はすさまじく、早漏治療薬の開発では、性交相手の女性にストップウォッチをもたせてセックスをする。挿入開始から射精までの時間を秒単位で計測し、早漏改善の効果を確かめる性交をしなければならない。

 さて、恥ずかしがる社員に困った青木氏は、会社の上層部に根回しをして、社命で40代後半以上の社員に“実験台”になってもらった。青木氏が言う。

「2週間の実験で、19人中17人の体感率がハッキリとアップしました。医薬品の効果は4割が普通なので、かなり高い率です。また、生活習慣病をもっている人の方が体感しやすいことがわかりました。ED自体が生活習慣の乱れで、毛細血管の障害によるものです。こういう人たちに効果が現れました」

©iStock.com

 また、鬱病など精神神経疾患患者7名による実験が行われた。平均35歳の彼らは重度のEDである。すると、彼らの大半が硬度の高い勃起をもよおし、性交に成功したのである。

「精神疾患そのものへの効果はありません。しかし、体が反応したことから、自信を取り戻して、きっかけづくりになったのだと思います」

 この自信が実は重要である。エディケアを服用してテストステロン値の増加傾向が明らかになった。だが、エディケアそのものが直接テストステロンを増やすわけではない。勃起をして、性交をすることで、自然にテストステロンが上昇。つまり、性交のある生活は精神的にも肉体的にも健康の証なのだ。

後編へ続く)