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特集2019年上半期の「忘れられない言葉」

2019/08/17

勲章を持ち続けられるか?

 最後に余談を記しておこう。かつて通産省技官や工業技術院長のほかに、さまざまな要職を歴任して日本の発展に尽くしてきた飯塚幸三氏は、2015年に瑞宝重光章に叙勲されている。

 これは「国家又ハ公共ニ対シ積年ノ功労アル者」に授与される、比較的高位の勲章だ。ただし、叙勲者が「死刑、懲役又ハ無期若ハ三年以上ノ禁錮」に処せられた場合には、勲章褫奪令(くんしょうちだつれい)にもとづき剥奪される決まりである。

 他方、飯塚氏の容疑とみられる過失運転致死傷罪の刑罰は「七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」(平成二十五年法律第八十六号)となっている。

 飯塚氏にやがて下される判決には執行猶予がつくのか、実刑か? そもそも、現在88歳の彼が存命のうちに書類送検がなされて公判が開かれ、判決が確定される可能性はどれほどあるのか――?

 その結果次第で、未来ある母子2人の生命を奪った飯塚幸三容疑者は、叙勲者としての輝かしい名誉を保ったまま人生を終えることが可能となる。

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