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『アナ雪2』と『ナウシカ』の一致に見る、「フェミニズム以後の時代」が抱える問題点

2019/12/21

 この二人には、制度や権力の破壊をよしとするカウンターカルチャー的左翼思想と、新自由主義的な反官僚主義思想とのあいだの切れ目ない連続が見て取れる。「フェミニズム以後のフェミニズム」たるポストフェミニズムは、そのような、リベラル左翼思想と新自由主義の合流からこそ力を得ているのだ。

『アナ雪2』が環境問題について示唆すること

 地球温暖化問題を訴える16歳の少女グレタ・トゥーンベリが、好悪両方の強い感情を引き寄せている現在、『アナ雪2』が示唆するものは大きいかもしれない。もちろん、真剣に議論されているエコフェミニズムと、フェミニズム的なものとエコロジー風のものの新自由主義的想像領域におけるゆるやかな結合とは、区別されるべきではある。エコロジーは、単に制度を破壊したところに自然が現れるといった素朴な思想ではないから。それは、資本主義そのものを考える思想であるべきだから。

 しかしそれらの運動がポピュラーな想像力に訴えなければならない以上、『アナ雪2』の限界を見定めることは不可欠な作業でもあるだろう。その限りにおいて『アナ雪2』は「有用な」作品である。

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脚注

※1……「つまずきの石としての1980年代」より

※2……ちなみに、そういった主体の典型には、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』の主人公、大門未知子がいる。彼女は圧倒的なスキルを持ち、象牙の塔としての病院の官僚制度をなぎ倒していく。ただし、彼女は同時に「フリーター」でもある。キャリアウーマンと非正規労働者の両方の側面が共存しているのだ。

※一部不正確な記述があり、修正いたしました。12/22. 19:30

戦う姫、働く少女 (POSSE叢書 Vol.3)

河野 真太郎

堀之内出版

2017年7月20日 発売

『アナ雪2』と『ナウシカ』の一致に見る、「フェミニズム以後の時代」が抱える問題点

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