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1週間で引き取り手が見つからなければ「殺処分」

 本計画について簡単におさらいしよう。

 環境省は約1年半前の2018年7月、奄美大島で野生化した猫(=ノネコ)を年間300匹捕獲する「ノネコ管理計画」をスタートさせた。計画を立ち上げた理由は「近年ノネコがアマミノクロウサギ(以下、クロウサギ)などの希少動物を捕食し、生態系への被害が明らかなため」(環境省の回答文書より)という。奄美大島の山林に生け捕り用のワナを設置し、捕獲したノネコを「奄美ノネコセンター」で収容する。飼育期間は捕獲から1週間が目安で、その間に捕獲したノネコの飼い主を募り、1週間で引き取り手が見つからなければ「殺処分」が認められている。

 私の本計画に対する思いは、以前文春オンラインで発表した記事に記した通りだ。多数の猫を殺処分する必要性、税金を投入する意義など、本計画の妥当性を今一度検証する必要があると考えている。その考えは変わらないが、今回計画の是非については横に置いておく。今捕獲されている猫の命を守らなければならないからだ。

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ノネコたち 

問題視されている「捕獲法」

 300基ある捕獲ワナの見回りは、十分な職員がいないため1日1回。ワナの中におびき寄せる餌はあるものの、通常の食するための餌はない。真夏または真冬の悪天候時に、屋外にあるワナの中で長時間猫が放置されることも心配される。

 2019年12月20日、参議院議員会館で奄美のノネコ問題について再び集会が開かれた。半年前も問題視された「捕獲法」が議題の1つになる。

 猫捕獲器には、踏み板を踏むと扉が閉まる「踏み板式」と、捕獲器の奥についたフックに餌をひっかけ、それを食べようとすると扉が閉まる「吊り下げ式」というものがあるが、「なぜ旧式である吊り下げ式を使用するのか」という疑問の声が動物愛護家から挙がった。

「吊り下げ式は猫が暴れた場合、フックが猫の体を傷つけてしまい、大変危険です。最近捕獲された中で、鼻の上が傷だらけの猫もいました」

福島みずほ議員(左)と林太郎弁護士 ©笹井恵里子

 弁護士の林太郎氏も動物愛護家の訴えに熱心に耳を傾けながら「捕獲された猫について動物愛護法に沿った扱いをしていただきたい」と、環境省職員にきっぱり告げた。

 環境省は「アマミトゲネズミやアマミノクロウサギなどの固有種がネコにより捕食されていることが問題。法令を踏まえ対策を進めている。希少種を守るために苦渋の決断をしていることをご理解いただきたい。また、ネコにとっても山中で暮らすことは不幸」と返答。

 しかし、昨年は猫を捕獲するはずの捕獲ワナで、絶滅危惧種であるアマミトゲネズミがおよそ150匹混獲された。中には1つのわなに6匹入っていたり、死亡した個体もあった。猫だけでなく、環境省が守ろうとしている希少種も命を落とすという、多くの動物にとって安全でない状況で捕獲が実施されているといえる。