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23歳でB級1組 スピード昇級の近藤誠也七段が語る「以前はビッグマウスでした」

23歳でB級1組 スピード昇級の近藤誠也七段が語る「以前はビッグマウスでした」

“チーム所司一門”近藤誠也七段インタビュー #1

2020/05/08
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欲を言えば、他力ではなく自力で昇級したかった

――では、最終局も昇級の可能性について考えなかったのでしょうか。

近藤 横山七段とは最終局、部屋が違いました。いつもなら昼食休憩時に他の盤面を見て回ったりするのですが、その日はあえて見に行きませんでした。他力の場合は相手のことは考えず自分の対局に集中すべきですから。その日は内容の良い将棋で中田(宏樹)八段に勝つことができました。

 同じ部屋の対局が終わっていなかったので、東京将棋会館3階の記者室に移動して感想戦。でも、記者の人は少なくて昇級はダメだったのだろうと思って、終了後、帰ろうとしました。そうしたら、「昇級の目があるから待機してくれ」と記者の方に止められました。

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――そのときは、まだ横山七段の対局は終わってなかったんですね。

近藤 そうです。そうして初めて横山七段の将棋をネット越しに見ました。記者の方にどうなっているか聞いたら「二転三転して大熱戦ですが、北浜(健介)八段が良さそうです」。確かに北浜八段が優勢。そうしているうちに、4階の対局室から記者の方が何人も降りてきて「おめでとうございます」と。自分の対局を終えた後というのもあって、ぼう然というか何も考えられなかったです。そして、30分ほど昇級についてインタビューを受けました。でも、欲を言えば、他力ではなく自力で昇級したかったです。

順位戦の後はいつも食欲がすごくて(笑)

――その後はどうされましたか? かなり遅い時間になったと思いますが。

近藤 取材が終わったのは深夜の1時ごろで、すごくお腹が空いていました。順位戦の後はいつも食欲がすごくて(笑)、ラーメンとか食べるんです。その日は「おめでとう」とメールをくれた青嶋さん(未来五段)と合流してお寿司屋さんに行きました。おいしかったです。確か自分がB2に上がった時も、青嶋さんと夜食を食べに行きましたね。夜食は、仲の良い棋士がいれば一緒に食べることが多いです。

 

――そういう時の支払いは割り勘で?

近藤 そのときは昇級した僕が払いました。

――6時に夕食休憩があっても、若いしお腹は空きますよね。対局中の食事にこだわりはありますか?

近藤 昼夜休憩がある対局では、昼はしっかり、夜は手軽に麺類が多いです。以前は、ふじもとの「ひれかつ定食」が勝負めしでしたが、最近は鳩やぐらとか紫金飯店とか、気分によって頼むメニュ―は変えています。