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半年後に将棋の神様が現れるかもしれない話──最強将棋ソフト開発者が語る“ディープラーニング勢の台頭による将棋ソフトの進化”

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genre : ライフ, 娯楽

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杉村:
 磯崎さんは探索部を改良してくれたんで、そのぶん強くなったと思います。私のほうは、そこまで強くなっていなかったので……しかもディープラーニング勢が、予想以上に強くなっていたので。

──やはり、強くする限界が来ているということなんでしょうか?

杉村:
 評価関数については、そうですね。たぶん、これ以上強くは……ならん。と思っています。

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ディープラーニングの時代が到来?

──前回のインタビューでは、これからディープラーニング勢との戦いが白熱していって、どんどん面白くなるだろうということでした。今回、実際に戦ってみて、いかがでしたか?

磯崎:
 今回ね? AWSでA100というのが使えるタイミングになってしまいまして。

──AWSは、アマゾンの提供するサービスですね。A100は、GPUを開発しているNVIDIAという企業が今年の5月に発表した、モンスター級のGPU……で、いいんですよね?

磯崎:
 以前から使えていたV100というのの3倍くらい速いんですそのA100を8基買うと2000万円くらいするんですが、それと同じパソコンを……もうそれはパーソナルではない規模ですけど……AWSで使えるようになったと。こっちのCPU(Ryzen Threadripper 3990X)は50万円くらいですからね(苦笑)。

──うわぁ……。

磯崎:
 しかもGPUって並列演算に特化してるんで、普通のCPUと比べて1秒間の演算性能が10倍くらいあって。

──物量だけでボコボコにされてしまいますね……。

磯崎:
 計算量はこっちの100倍くらいかもしれません。ただ、GCTやdlshogiはそのマシンパワーをフルに使えていたわけではなくて。ちょっと遊び時間があるようでした。チューニングがまだ足りなかったみたいで。

──まだ余力を残していると? どのくらいなんです?

磯崎:
 GPUの使用率を見てみたら、30%くらいしか使ってなかったとか

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