杉村:
磯崎さんは探索部を改良してくれたんで、そのぶん強くなったと思います。私のほうは、そこまで強くなっていなかったので……しかもディープラーニング勢が、予想以上に強くなっていたので。
──やはり、強くする限界が来ているということなんでしょうか?
杉村:
評価関数については、そうですね。たぶん、これ以上強くは……ならん。と思っています。
ディープラーニングの時代が到来?
──前回のインタビューでは、これからディープラーニング勢との戦いが白熱していって、どんどん面白くなるだろうということでした。今回、実際に戦ってみて、いかがでしたか?
磯崎:
今回ね? AWSでA100というのが使えるタイミングになってしまいまして。
──AWSは、アマゾンの提供するサービスですね。A100は、GPUを開発しているNVIDIAという企業が今年の5月に発表した、モンスター級のGPU……で、いいんですよね?
磯崎:
以前から使えていたV100というのの3倍くらい速いんです。そのA100を8基買うと2000万円くらいするんですが、それと同じパソコンを……もうそれはパーソナルではない規模ですけど……AWSで使えるようになったと。こっちのCPU(Ryzen Threadripper 3990X)は50万円くらいですからね(苦笑)。
──うわぁ……。
磯崎:
しかもGPUって並列演算に特化してるんで、普通のCPUと比べて1秒間の演算性能が10倍くらいあって。
──物量だけでボコボコにされてしまいますね……。
磯崎:
計算量はこっちの100倍くらいかもしれません。ただ、GCTやdlshogiはそのマシンパワーをフルに使えていたわけではなくて。ちょっと遊び時間があるようでした。チューニングがまだ足りなかったみたいで。
──まだ余力を残していると? どのくらいなんです?
磯崎:
GPUの使用率を見てみたら、30%くらいしか使ってなかったとか。