dlshogiの場合、これを改善するために、探索開始局面では、即詰みの有無をチェックしてます。ただ、それだけですとわりと頓死したりするので、末端の局面でもdlshogiは五手詰めの有無をチェックしていますが、その五手詰めを、三手詰めとか一手詰めとかにしていくと、弱くなっていくらしくて。
──聞けば聞くほど不思議なソフトですねぇ……。
神様のレーティング
杉村:
今回の電竜戦では、ディープラーニング勢とNNUE勢は、ほぼ同じくらいの強さだったと思うんです。優勝はディープラーニング勢でしたけど、全勝優勝というわけではなかったですし。
──そうなんですよね。優勝したGCTは7勝1敗2千日手(千日手2回で1敗扱い)で、4位のみずうら王は6勝3敗。dlshogiは4勝5敗で6位でしたし、全体的に互角だったと思います。
杉村:
ただ、ここから半年後にコンピューター将棋選手権が行われるとして……そこまでにどのくらい改良する余地があるのかというと、磯崎さんが最近「こうしたらdlshogi強くなるんじゃないの?」みたいなこと言ってるので……。
──ライバルを強くしちゃってるじゃないですか!
磯崎:
遊び時間のところで話した、30%くらいしか使ってなかったやつ。あれを私が改良すれば100%使えるようになるんです。
──その時点で3倍!
磯崎:
それだけでレーティング300くらい強くなります。他にも私、改良点を見つけていまして。
──トータルでは、どのくらい強くなるんです……?
磯崎:
500くらいは上がるんじゃないかと。
──ごひゃ…………ちなみに、NNUEだとどうなんですか?
磯崎:
探索部分を1年間かけて100くらい。評価関数は50上がるかどうか……みたいな勝負をこっちはしてる。なのに向こうは簡単に500とか上がる余地があるので、半年後には勝負にならないなと。
杉村:
電王戦当時の、佐藤天彦名人とPonanzaのレーティングの差がおそらく500くらいじゃないですか。そのくらいの差を、半年で付けられてしまう。