──A100というのを使うと、もっと読めるんですよね?
磯崎:
GCTは今回の大会では秒間70万局面くらい読めていたとおっしゃっていました。人間と同じ大局観を持っている人が70万局面を読んで指したら……これは大変な事だろうと(苦笑)。
──1秒で人間がどれだけ読めるかはわかりませんが……ヘタをしたら、人間と同じ大局観を持ち、何万倍も速く読めるという、おそろしいソフトが誕生したのかもしれませんね……。
磯崎:
今回の電竜戦ではGCTは1手10秒かけていたとして、人間換算にしたら、それは何年分……何十年分の局面を読んだの? っていう話になりますね(笑)。
──うぅーん…………いやもう、話が凄すぎて……。杉村さんはGCTの将棋をご覧になって、いかがでしたか?
杉村:
GCTとの対局では、みずうら王は序盤で「自分がいい」と言っていて、GCTも「自分がいい」と言っていて。それで、みずうら王が反省させられて負けたという形でした。
──みずうら王の序盤の認識が誤っていた、ということでしょうか。
杉村:
対局の戦型自体も、コンピュータ将棋でよく指されている相掛かりという居飛車の戦法でした。つまり、序盤の力負けということになると思います。
で、(ディープラーニング勢は)終盤力が若干、CPUを使っているソフト……NNUE勢に比べて弱いとされていて。実際にGCTは他の対局で、終盤で逆転負けしたこともあったんですが……みずうら王との対局では全くそんなこともなく、勝ち切られたという感じです。
磯崎:
終盤は、ゲロゲロ弱いんですよ。dlshogiって五手詰めどころか三手詰めも見逃しますし。
──そこまでなんですか!? 電竜戦を拝見していると、普通に詰まして勝ってたような……?
磯崎:
AobaZeroという、同じディープラーニングで作られているソフトが棋譜を公開しているんです。それを見たら……三手詰めを見逃して頓死してる棋譜とかもあって。