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半年後に将棋の神様が現れるかもしれない話──最強将棋ソフト開発者が語る“ディープラーニング勢の台頭による将棋ソフトの進化”

source : 提携メディア

genre : ライフ, 娯楽

note

──振り飛車の200点は、どこまで行っても変動しない200点。角換わりの200点は、手数が進めば差が広がっていく200点。確かに全く違いますね!

杉村:
 そうすると、違う戦型・違う手数の局面同士で比較して「こっちの点数のほうが高いからいい戦型だ!」とは、ならんわけだと思うんですよ。

 磯崎さんも言う通り、特定の局面でどちらの指し手が良さそうかを評価することにおいては、評価値というのはまあまあ信用が置けるとは思います。けど、異なる局面と局面でその数字を比較してしまうと……。

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──つまり「振り飛車が序盤で点数が悪くなる。だから振り飛車は悪い戦型だ」……という結論は、おかしいと?

杉村:
 本質を見誤っている可能性がある、ということなんでしょうね。

──その辺りにも、コンピューターを使って学習することの危うさのようなものが潜んでいるわけですね……。

杉村:
 そうですね。しかも水匠は振り飛車の評価値が怪しいですし。

──藤井二冠も、評価値は色々な条件で変わりうるから絶対的なものではないとおっしゃっていたように思うんですが……やはりそれは、慧眼なわけですね。

杉村:
 …………藤井先生と私、お話しする機会がありまして。

──おお!

杉村:
 その時にうかがったんですけど……評価値のみを見て、という学習方法ではなく、他のやりかたもやってらっしゃるようでした。

──そうなんですか!? そ、それはどんな……?

杉村:
 それはご本人がおっしゃったら……。

──わかりました。お二人がどんなことをお話になったのか、公開されるのを楽しみにしています!

(藤井二冠と杉村さんの対談は赤旗日曜版新年合併号に掲載されています。気になる方はぜひそちらをご覧ください!)

電竜戦

──今回の電竜戦で上位に入ったソフトだと、たとえば5位のBURNING BRIDGESさんは、定跡を手入力でやってらっしゃるとか……。

杉村:
 私もそれ、聞いていました。評価値を見て、1手ずつ入力してると。