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 けど、私が知る限りでは誰も標準NNUEより強いのが見つけられなかったんです。

──2年以上前のものが現在も使えると。よっぽど洗練された技術だったんですね!

杉村:
 ただ、「入力するものを変えたら強くなるんじゃないか?」っていうのは、また別にあって。

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 それがHalfKPE9で……そこは私、そんな詳しくないんで、磯崎さんに任せたいところですけど(笑)。

──HalfKPE9って見たことあります! 今回の電竜戦に出場したソフトも、そちらを使っているのいっぱいありましたよね? どうしてこれを使うんでしょう?

杉村:
 そちらのほうが表現力が高いからです。今は、玉と他の駒の距離感というか位置関係しか考えてないんですけど、それにプラスして『利き』というのも特徴として学習させたほうがいいんじゃないかと。そういうスタンスで始まったものなんです。

 ただ、見るべきものが多いので、そうすると評価関数のサイズも大きくなっちゃいますし、速度も落ちるんです。速度が落ちると、読む深さも落ちる。読む深さと引き換えに、大局観を良くしようという。

──サイズを小さくすることで速くして、それで強くなったのがNNUE関数ですよね? その速さを犠牲にしてしまうというのは……上手く行くのでしょうか?

杉村:
 みずうら王側で実験して、学習を進めてみたら……速度が落ちるほうが悪影響だったので。標準NNUEよりも強くならないというのが、私たちの考えです。

──逆の結論にいたった方々は、電竜戦で採用したわけですね。ところで水匠は、玉のまわりにスペースを作って戦うことが多いですよね? それは標準NNUEを使って、玉と他の駒の位置関係だけを見ているからなんでしょうか?

杉村:
 うーん……どうなんですかね? 玉を固める棋風にならなかった理由というのは、よくわからないんです。ただ、振り飛車に対しては穴熊を指すのが相当好きなので……。

──固めるのが嫌い、というわけではないんですね。