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「私も詰将棋を愛しています」山根ことみ女流二段が初のタイトル戦で楽しみにしていること

「私も詰将棋を愛しています」山根ことみ女流二段が初のタイトル戦で楽しみにしていること

山根ことみ女流二段インタビュー #2

2021/04/26
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研修会だけでなく、大会にもよく夜行のフェリーで行っていました

――中3の冬に入会されていますね。

山根 高校受験期の少し前でした。研修会に集中したいと考え、入試にやきもきしたくありませんでした。それで推薦で入学できる私立の新田高校を選びました。黒田五段が1年上で新田高校に入っていて、将棋もしやすいだろうと安心感もありました。

――高校時代は緑のネクタイのおしゃれな制服で対局されていましたね。やはり、東京や大阪に遠い地方からプロを目指すのはハンデがあると思いますか。

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山根 移動面のハンデが一番大きいと思います。研修会だけでなく、大会にもよく夜行のフェリーで行っていました。船は揺れたりして、そんなに眠れないので、寝不足のまま対局するのが大変でした。

 

姉と一緒に料理を作ったり行き来しています

――2018年に愛媛から上京されました。親御さんからは反対されなかったでしょうか。

山根 高校を出たらすぐに東京に出たいと言いました。でも、両親に反対され、未成年だったので諦めました。20歳になったらと決め、貯金を始めました。成人して、親に頼らずに暮らせるようになれば問題ないだろうと思ったのです。どうやったら、自立して暮らせるかお金のことを考えました。

 東京は家賃など高いので、指導会や聞き手などいろいろなお仕事をしようと思いました。和田あき女流初段に相談して、東京で仕事を増やすアドバイスをもらい、収入はなんとかなりそうでした。ただ、私は家事も苦手で、方向音痴だし、東京で暮らしていけるのかという生活面をむしろ心配されていたようです。私はそこを忘れていて(笑)、うっかりしていました。なんとか両親を説得して上京しました。

――1人暮らしは大変でしたか。

山根 一応、なんとかなっています。私が上京してしばらくしてから、3歳上の次姉が東京で働くことになり、近くに住むようになって、一緒に料理を作ったり行き来しています。お出かけするのも姉と一緒のことが一番多いです。

――お姉様が近くにいるのは心強いですね。お姉様は2人?

山根 私は三姉妹の末っ子です。5歳上の長姉は四国にいます。ケンカしたことのないくらい仲の良い姉妹です。3人とも名前はひらがな3文字。次姉はIT関連の会社で働いているらしいのですが、仕事内容を説明してもらっても、あまり理解できなくて……。姉も将棋界のことは分かっておらず、お互いどんな仕事をしているのかよく分からないままです。