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自分がベストの力を出せばターンが回ってくる

――他によく棋譜を並べている棋士はいますか。

山根 藤井猛九段の将棋が以前から好きです。最近、全集が出たので喜んでそれを並べています。

小学生の大会で四間飛車で戦う。アマ大会は、ずっと四間飛車で指していた(山根ことみ女流二段提供)

――山根先生はアマチュア時代からプロになって数年経つまで四間飛車一本でした。戦法は1つでも、ある程度のところまで行けると考えていますか。

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山根 そうですね。ある程度行けるのではないかと。私の場合は、四間飛車だけでは対策されやすいと、最近になって雁木など居飛車も取り入れるようになりました。

 山根女流二段を松山将棋センターで指導した児島有一郎さんは、

「最初に四間飛車を教えたのは私です。そのうちに、ことみさんが自分で別の戦法を勉強するかなと思っていましたが、そのまま四間飛車一本で長くやっていました。プロになって格上の相手に勝つのは相振り飛車が多く、相手が居飛車の対抗系になると苦しかったのではないでしょうか。

 東京に出てから居飛車の勉強もして、相居飛車も指せるようになり、勝てなかった相手に勝てるようになってきたと思います。私が指導している子どもたちにいつも言っていることは『相手が強ければ負けるのは仕方ない。でも、自分の力を出さないで負けるのは良くない。相手も力を出せないことはあるから、自分がベストの力を出せばターンが回ってくる』ということです。タイトル戦ではコンディションを整えて、一番一番、自分の力を出して欲しいですね」

 と山根女流二段の初のタイトル戦に期待する。

小学生の頃、盤に並べて詰将棋を解く。詰将棋を暗記して本を見ずに解いたり、現在もいろいろな解き方で取り組んでいる(山根ことみ女流二段提供)

詰将棋は勉強というよりは、楽しくて取り組んでいます

――「終盤は山根に聞け」と言われているそうで、女流棋士ではトップクラスの終盤力を誇っていると評価されていますね。詰将棋が得意だからでしょうか。

山根 「終盤は山根に聞け」なんて誰が言っているのでしょう(笑)。序盤に比べたら終盤は得意です。というより、序盤が苦手なので終盤を磨かないと勝てないのです。詰将棋は勉強というよりは、楽しくて取り組んでいます。

――子どもの頃たくさん詰将棋を解いたことが、今の山根先生の終盤力につながっていると思いますか。また、序盤の勉強より詰将棋を重視する松山将棋センターの指導方針は理にかなっていると思いますか。

山根 思います。子どもの頃はパワーがあるから、詰将棋をたくさん解くことができます。詰将棋は終盤力を鍛えるのに良い勉強法だと思っています。松山将棋センターで育った子は、みんな終盤が強いと言われていて、黒田五段も終盤型だと思います。