東京に出たのも、対面で指せる相手が欲しかった
――上京されてからは、ずいぶん研究会をされたと聞きました。愛媛在住時は関西所属でしたし、どうやって東京での対局相手を確保したのでしょうか。
山根 小学生の頃から大会などのため東京に来るたびに、蒲田将棋クラブ(東京・蒲田にあり、アマ強豪や奨励会員、棋士、女流棋士が研究会に集まることで有名な将棋道場)に行っていました。席主さんがとても良い方で、私のために強い相手に声をかけてくれたり、お世話になっていたのです。東京に来てからもその方にお願いして、研究会を紹介してもらいました。相手は奨励会員が多いです。女流棋士では中村真梨花女流三段や、渡部愛女流三段にもお世話になっています。東京に出てから2年近くはたくさん対局していたのですが、新型コロナウイルス感染症が流行ってからは、ネット対局が多くなりました。
――同じ松山将棋センター出身の黒田尭之五段は、愛媛でネットの将棋倶楽部24をかなり指されたそうですが、山根先生はあまりなさっていなかったとお話しされていました。
山根 ネット対局はどうも苦手で。画面では頭に入らないというか、時間切れで負けたり、ほとんどしなくなっていました。東京に出たのも、対面で指せる相手が欲しかったのが大きかったです。今はコロナの影響で研究会がほとんどネット対局になったので、慣れないといけないなと思います。
大山全集は重いので、持ち歩くのは筋トレみたいでした
――ソフト研究はなさっていますか。
山根 していますが、それ中心ではないです。振り飛車の研究にはあまり使っていなくて、居飛車をソフトに教えてもらっている感じでしょうか。ただ、パソコンはあまり得意ではないです。最近も将棋ソフトのAperyを入れたら、どうもパソコンの調子が悪くて。将棋の勉強は、愛媛時代と変わらず、詰将棋と棋譜並べが中心です。コロナ禍で家にいる時間が増え、勉強時間も増えました。
――大山康晴全集の1冊を持ち歩いていたと、他のインタビューで答えられていました。2019年に「復活」としてマイナビ出版から出たプレミアムブックス版ではなく、古い本を手に入れて棋譜を並べていたのですか。
山根 プレミアムブックス版が出る前は、大山全集はほとんど手に入らず、幻のような存在でした。それが中学生の時、大会のついでに東京のアカシヤ書店(囲碁・将棋の古書専門の書店)に行ったら、3巻揃って売っていたのです。これは運命だと思いました。5万円だったか母が買ってくれました。重いので、持ち歩くのは筋トレみたいでしたが、手に入って嬉しくて……。