基本セットに収録され続けた強力カードといえば《神の怒り》や《ハルマゲドン》が挙がる。タンスの奥に眠っている可能性が高い定番カードなのだが、実のところこの2枚はあまり高値では取引されていない。カードの効果が強力な点に変化はないが、活躍できる環境が限られているためだ。
日本語版基本セットの収録カードのうち、特筆すべき高値が付いているのが「第6版」の《悟りの教示者》である。希少度がアンコモン(1パックに3枚封入)でありながら、2000円程度で取引されている。これらの「教示者」系カードは効果が強力で、1999年当時も盛んに使われていたものなので、「捨てるに忍びない」と取っておいた人が多いのではないだろうか。
「ポータル」「ポータル三国志」(1997~1999年)
初めて触れる人にとって「マジック」のルールは難解である。「マジック」の総元締である米ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社もそういう認識を持っていたようで、「入門用」を謳ったセットが数度にわたり発売されている。
1997年の「ポータル」、1998年の「ポータル・セカンドエイジ」、1999年の「ポータル三国志」、同年の「スターター」がそれだが、メインストリームのセットと比べると売上は伸びなかった。新しく「マジック」を始めるにあたっては、友だちから手ほどきを受け、手頃なカードを譲り受けて始めるプレイヤーが多かったからだろう。
さらには、初心者向けセットのカードは当初、公式の対戦に使うことができなかった。友だちと遊ぶためにこのセットを手にとって、歯がゆい思いをしたプレイヤーも少なくなかったことと思われる(筆者もそのひとりである)。
しかし「ポータル」系のカードには、1万円以上の高値になっているものもある。特にすごいのが「ポータル三国志」のカードだ。レアカードの《伝国の玉璽》は一部のデッキに欠かせないものとなっており、「マジック」日本語版に封入された歴代カードの中でもトップクラスの高額で取引されている。