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そして、叡王へ……【流れゆく水のように 豊島将之竜王・叡王インタビュー 第3章】

source : 提携メディア

genre : ライフ, 娯楽

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「でも、そんなにまだ……勝ったらタイトル挑戦というところでもなかったので。純粋に、途中までいいところのあった将棋だったので、悔しかったんだと思います

──その後、豊島先生はタイトル戦の第1局で解説役としてニコ生にご登場なさいますが、実はそれが解説役として初めてニコ生に登場した機会になります。そのときに私も観戦記を担当していて、ご挨拶させていただいて。

「そうでしたね」

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──そのときの豊島先生の印象が……以前、岐阜の名人戦でお目にかかった時よりも、柔らかい雰囲気になっておられたと感じたんです。あの時は王将戦のタイトル戦だったり、3月に名人戦のプレーオフがあったりして対局が非常に多かったと思うのですが、それが豊島先生にとってよいリズムになっていたのでしょうか?

「うーん……まあでも3月は、最終的には負けているので。でも何か……なんか、いけそうな手応えは、多少はあったのかもしれませんね」

──前夜祭のステージで、金井(金井恒太六段)先生と高見(高見泰地七段)先生のどちらを応援するか聞かれて「どっちも応援しません!」というご発言がありました。会場は爆笑で、豊島先生も笑っておられたんですけど…………どこか本音のように聞こえて、私は笑えなくて……。

「あんまり……どっちを応援するというのは、いつもないので。あと、あれは(一緒に登壇した)山崎(山崎隆之八段)さんがすごくいいパスをくれたんで(笑)」

──あの対局の観戦記(『save your dream』第2譜 金井恒太六段―高見泰地六段:第3期叡王戦 決勝七番勝負 第1局 観戦記)、私は豊島先生を第3の主人公として書いていたんです。そうしたら後日、岡崎将棋まつりに行ったとき、豊島先生のファンの方から感謝されて……その方は目に涙を浮かべながら「豊島先生のこと、書いてくださってありがとうございます」と。そうしたファンの声援は、豊島先生には届いていましたか?