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そして、叡王へ……【流れゆく水のように 豊島将之竜王・叡王インタビュー 第3章】

source : 提携メディア

genre : ライフ, 娯楽

「でも永瀬さんのように、研究会を多くしていくというスタイルにしても、永瀬さんのよりも上手くはできないと思ったので(笑)」

──確かに永瀬先生のマネは誰にもできなさそうです(笑)。

「自分なりに考えつつ、近いような……違う方法で、今強い人たちが持っているような力というのを身につけたいなと。そういう感じですかね」

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──自分がやろうとしている方法が空振ってしまったときの恐怖というのは、ありますか?

「恐怖?」

──時間を費やしても、思うに伸びなかったりしたら? みたいな。

「ああ……恐怖というか、上手くいかなかったときのことは常に考えていますね。でも、本当に、上手くいったらそれは運がよかったというか……」

──運。

「もちろん自分の中で考えて、上手くいくように考えるんですけど、結局、やってみないとわからないところがあるんで」

「自分の感覚だと、トップの数人とか10人とかに入ろうと思ったら、うまく自分のやっていることがヒットしないと難しいというか」

「まあそれでダメだったら、ちょっと下がるというか……上位20~30くらいまで下がることは、あると思いますし」

「上の人たちで、能力的に自分よりも抜けてすごい人はいますけど(笑)。でも、自分と上位20~30番くらいの棋士たちとのあいだに、そんなに差があるとは思わないので」

「だから、まあ、やってることが当たらなかったら当然下がるだろうなということは思っています」

──課題を見つけて、方法を考えて、それを克服していく。それが最も重要だということなんでしょうか?

「人によるんでしょうけど(笑)。自分は、まあ、うーん……自分のやってみた感触としては、タイトルとかA級とかに上がる人たちと比べて、自分が才能とかで優れているとは思わないので」

だからやり方で工夫していかないと難しいと思っているので。それが上手くいけば、自分の思っているような結果が出るんでしょうし。普通のことをやっていては厳しいんだろうなということは、思っているので……」