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藤井聡太二冠の影響で女性ファンが増加

――藤井聡太二冠の活躍で、将棋の注目度が上がっているように思いますが、八代先生はそれを実感することはありますか?

八代 将棋を知らない方に、自分は将棋の棋士ですと言うと「あー」と分かってもらえるようになりました。「あの若くて強い子がいるよね」なんて。「最近、対局しました。負けたのですけど」と言うと、「でも、対局しているだけすごいじゃないですか!」なんて見る目が全然違います。以前は、棋士って言っても「へえ、そんな仕事あるんだ」という感じでしたから。

 

――将棋に対するイメージも変わったと思いますか。

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八代 それは思います。少し前まで、将棋は年配の方がやるイメージが強かった。最近は、女性ファンがすごく増えました。世の中のトレンドって、若い女性が作っていくじゃないですか。女性ファンが増えるとその世界が華やかになり注目度も上がるので、すごくいいことだと思っています。将棋をよく知らない方、指せない方にも観てもらえるのも嬉しいことで、ABEMAで解説するときは、そんな方にも分かっていただけるようにしたいと考えています。玉の周りに味方の駒がたくさんいるから安全とか、誰にでも分かるような説明も入れています。

――藤井二冠とは、今期の竜王戦2組決勝と3年前の新人王戦で計2回対戦しています。藤井二冠相手には特別な準備をする棋士や、気合を入れる棋士もいらっしゃるようですが、八代先生はどうだったのでしょうか。

藤井聡太王位・棋聖ー八代弥七段。竜王戦ランキング戦2組決勝戦にて(写真提供:日本将棋連盟)

八代 藤井さん相手だからといって、特に意識はせず研究も気合も普段通りです。三枚堂君相手に気合を入れた話と矛盾するようですが、基本的には誰が相手でも変わらないです。奨励会時代に「肩に力が入るとかえって良くない」と母に言われてきたことも影響しています。

 支部の皆さんには奨励会時代も応援していただいていて、次の例会で昇級の一番というときには「是が非でも勝たなければいかん。これで気合を入れてくれ」と高い鰻をご馳走してもらったりしました。そういう時はたいてい昇級を逃して期待を裏切ってしまい、母には「せっかくご馳走していただいたのに、鰻がもったいない」なんて言われ、普段通りのほうがいいのかなと思うようになりました。