──CSAも会員が高齢化してきて、いずれ電竜戦と合併するようなことになるかもしれません。そのときは、阿部先生が連盟との架け橋に……。
阿部:
私よりも勝又さんが適役だと思います。それに私も、単に解説を依頼されただけだったら、引き受けなかったと思うんです。
──そうなんですか?
阿部:
はい。CPUとGPUの過渡期だし、興味深いところがあったので……そういう、何か得られるものがないと。
──プレーヤーとしてですか?
阿部:
個人的な興味ですね。佐々木勇気さんはプレーヤーとして興味があったから参加したと思いますが。棋士も人それぞれで、コンピュータ将棋を強くなるためだけに利用している人もいれば、私みたいに興味が先に立つ人間もいますし。
それを副業にしたいという人も、もちろんいるでしょうしね(笑)。
──コンピュータ将棋開発の世界も、先細りのような感じになっていて。今回の長時間マッチは、そこを何とかしようという思惑もありました。棋士にとって、開発者がいなくなってしまうような事態は、どう思われますか?
阿部:
そこが問題なんですよね。自分の将棋盤とか駒って、使う前に磨くじゃないですか。だから本来、ソフトだって自分たちで開発して、改良していくべきなんですよ。
自分の使う道具なんだから、藤井二冠みたいにPCを自作することは、本来なら当たり前のことなんですよ。私はそこまでできませんが、ケースを開けてダストスプレーで綺麗にするくらいのことはしています。
そこは常々、開発者の方々には申し訳なく思っているんです。
──さきほど、ソフトに対するアレルギーのような話がありました。それによって最も大きな影響をこうむったのは、先生のご一門だったと思うのですが……ああいうことは、今後も起こると思われますか?
阿部:
起こりうると思いますよ。なぜならあの問題はコミュニケーション不足が原因で起こったんですよ。
──コミュニケーション不足。なるほど、確かに……。