こういう手を、パッと解説できるようになれば、もっと将棋の面白さがファンに伝わるんでしょうね。そのためには言葉の選び方とかも工夫しないと……。
──こういった手待ちみたいなのって、我々ファンがプロの将棋を見て『わかんないなー』と思ってる部分なんですよ。けど最近はプロの先生が、ソフトの手待ちを見て『あれは何の意味があるんだろう?』と考えるというのは……。
阿部:
将棋が高度になりすぎましたね。こうなるというのは昔からみんな薄々わかっていたことではあるんですが。
──こうした手待ち合戦みたいな技がどんどんソフトから輸入されることで、たとえば手数が伸びていくというようなことが起こったりするんでしょうか?
阿部:
あるでしょうね。何手一組で局面をわずかに動かす、みたいなトリックのような技がどんどん入ってくると。
そういう将棋になると、アマチュアでは理解できなくなるでしょうね。プロでも指せない人が出てくるでしょうから。
──そういう将棋を見て、面白いかというと……。
阿部:
そこまで高度な手待ちになってくると、暗記だけでは無理でしょう。理解しないと指せない。そして理解しても、解説したところでファンには理解されない。来るところまで来てしまったな……というのはあります。
──この域にまで、人間の将棋は到達しますか?
阿部:
うーん……たとえば、19歳の羽生竜王や、20歳の渡辺竜王。将棋界でトップになった頃のお二方と今の棋士を比べて、果たして今の棋士が強くなっているかというと……。
──19歳の藤井二冠という規格外の存在がいるとしても、じゃあ20年後に今の藤井二冠より強い棋士が他にたくさん生まれているかというと、ちょっと考えづらいですね。
阿部:
10年たっても20年たっても、追いつかないんじゃないですかね。そういうレベルには。
藤井二冠はこういった間合いを測るような将棋を指していらっしゃいますが……トップの実力だけは、いつの時代も隔絶していますからね。