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──健闘、という感覚なんですね。

阿部:
 NNUE側が仮に100万円だとしても、dlshogiは1000万円以上のスペックなわけですからね。

──第1局の前に、阿部先生が山岡さんに『メモリはいくつですか?』と質問したら『2TB』という答えが返ってきたのは衝撃的でした。聞いた阿部先生も苦笑していて(笑)。

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阿部:
 2TBはすごいですよね。保存用のハードディスクでそのくらいならわかりますが、メモリですから。いや、驚きます。

──どんな結果になると予想していましたか?

阿部:
 さっきは『健闘』と言いましたが……現状だと、わずかにCPU側が強いと思っていました

 引き分けか、または水匠の勝ちだと。

──勝ちというのは、先手でも後手でも水匠が勝つと。

阿部:
 はい。だから今回の結果は意外でした。バグのことも含めて……。

長時間マッチ第1局:横綱相撲で力を見せつけるようなdlshogi

──ではさっそく、第1局から。山岡さんはテスト対局でdlshogiに長時間思考させると、それまでは相掛かりを指していたのに、角道を開け始めたと言っていました。その通りの指し手をdlshogiが選んだわけですが、これはどう思われましたか?

阿部:
 現状は相掛かりが流行っているので、意外ですね。ただ、7六歩か2六歩のどっちがいいかはわからないので、今後も揺れていくのでしょう。

(画像は電竜戦長時間マッチ「水匠 vs dlshogi」第1局 ゲスト:渡辺明名人 解説:阿部健治郎七段・佐々木勇気七段より)

──最新のソフトが長時間思考した結果、『将棋の純文学』と言われた矢倉を指す。これについてはどう感じましたか?

阿部:
 少し前まで、矢倉は角換わりや相掛かりに比べて損なのではないかと言われていましたから、定跡を切った状態で矢倉を選んだのは意外ではあったんですが……。

 指してくれたということは、つまり矢倉も互角だということですよね。とはいえ暫定的な評価なわけで。人間でもコンピュータでも、何がいいかはその時々によるということなのでしょう。

 個人的には、接戦になって、終盤がどれだけ難しくなるかを楽しみにしていました。その意味で、駒がたくさんぶつかりあう矢倉は、難しくなる戦型なので、一番力が出る。楽しみですよね。