心が折れかけた東日本大震災
「帰宅困難の方々が沢山いらっしゃいました。その時は料金もワンコインで入っていただいて、ロッカーもないので貴重品はポリ袋みたいなものをお渡しして自分で管理していただいて。休憩所のテーブルも移動して、沢山のみなさんに朝までいていただいきました。
ただ、僕らもこれからお店の経営をやっていけるか心配だったので、いったんお店を閉めました。原発事故も影響して、韓国に家族がいる従業員たちの中には、実際に帰った人もいます。結局スタッフの数が半分くらいになってしまい、節電、節水の要請もあり、24時間営業は無理だねという話になりました。それでも、常連のお客様からは『お願いだから開けてください』『サウナに来れないのは死活問題なんだ』というお声を沢山頂戴して、不謹慎なんですけれども、それぐらいうちを愛してくれる方がいらっしゃるんだなと少し嬉しくなりました。
そこで、時短にして夜11時ぐらいまで営業しました。ただ、世の中の自粛ムードもあり『こんな時期にお店を開けていてけしからん』『看板を点けていたらだめだろう』といったお叱りのお電話も色々頂戴して、本当に悩みました。今も少し当時と似たような状況なので、大変ではあるんですけど」
そして、オロポに並ぶ名物、サ飯。「adam・eve」は韓国のおふくろの味をベースにしたメニューが充実している。オロポの陰に隠れた、知られざる“裏ドリンク”も人気だ。
サ飯は韓国のおふくろの味
「お料理は先代の頃から力を入れていまして、女性、男性で少しずつメニューを変えているんです。女性メニューは参鶏湯からスタートして、わかめスープ定食とか冷麺とか、野菜を使ったヘルシーであっさり志向なのが人気です。男性に人気なのは、豆腐チゲや豚バラ炒め定食のような辛くて、ちょっと味濃いめで、ご飯がすすむようなメニュー。特に豆腐チゲと味噌チゲ、ユッケジャンは、これ家で出てたなっていう母の味なんです。だから今でも料理人が代わったら母親が味見して『これとこれとこれ入れて』みたいな感じで調整しています」