「5秒前、3!2!1!キュー! さあ始まりました、シブスタ月曜日!」

 生放送がはじまる。ルーティンになっているとはいえ、この瞬間はいつもフロアに緊張が走る。番組のアシスタントプロデューサーのボクはひとたび問題が生じればすぐに人身御供になれるように、スタジオのバックヤードにある小さいモニターを、駆け出しのマネージャーである文(ムン)と一緒に今日も見つめていた…。

 夢や希望を抱いて17年前に芸能界で出会った二人は現在、中小企業の経営者になった。

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 筆者とオーナーとは初対面ではない。出会った当時はサウナのオーナーと客としての関係ではなく、アシスタントプロデューサーと駆け出しのマネージャーという間柄だった。

 片やテレビ東京の夕方の生番組のアシスタントプロデューサー、片や番組MC人気タレントのマネージャー。当時は働き方改革なんて言葉はなく、お互い家にもあまり帰れない目まぐるしい日々を過ごしていた…。17年経った今、ボクたちは大人になれたのだろうか。

 オロポ(オロナミンCのポカリスエット割り)発祥の地であり、さまざまな人種や国籍、タトゥー、刺青を受け入れるサウナ、西麻布adam・eve(アダムアンドイブ)。社長の文沢圭(ムン・テッキュ)の人生もまた、波乱万蒸だった。