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スモーキーブルー、コーラルのロングドレスを選ばれた雅子さま

 昨年の新年行事での雅子さまは、華やかな色使いをなさっていた。2年ぶりに出席を果たされた「講書始の儀」でお召しになっていたのは、この時初めて拝見したベルベット風のローブ・モンタント。スモーキーブルーが美しく、同系色で濃淡をつけた胸元のモール刺繍のようなデザインがとても素敵だった。

2020年1月14日、「講書始の儀」に臨まれる天皇皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻 ©時事通信社 

「歌会始の儀」では、鮮やかなコーラルのローブ・モンタントをお召しになり、ビジューのような装飾が襟元や袖口に施されていて、手仕事の細やかさと新年らしい華やかさが目を引いた。

 過去のご日程から、「新年祝賀の儀」、「講書始の儀」、「歌会始の儀」といった新年行事が一つのハードルとして残っていたように見受けられたが、昨年はそのすべてへのご出席を果たされ、着実に乗り越えられた自信がドレスにも表れていたように思った。

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2020年1月16日、「歌会始の儀」 ©時事通信社

『明治150年記念 華ひらく皇室文化−明治宮廷を彩る技と美−』(青幻舎、2018年)には、三笠宮家の彬子さまの論文「明治宮廷の華―女性皇族の衣装の変遷と三笠宮妃殿下の昔語り―」が掲載されている。女性皇族の服装の変遷について具に記されていて、新年の祝賀行事が「一番重い」とお書きになっている。

〈戦争が終わり、昭和29年(1954)7月1日、「内閣及び総理府関係法令の整理に関する法律」により、明治時代から連綿と続いてきた服装令は廃止される。以降、宮中儀式等での女性皇族の服装は、制度で定められたものではなく、時の皇后陛下を始め、妃殿下方の思し召しによって柔軟に変化するものとなっていく。(中略)新年の祝賀や晩餐会などは、ローブ・デコルテ、天長節、地久節、講書始、歌会始などはローブ・モンタントと、礼装の階級がひとつずつ格上げされることとなった。〉