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スタッフのモチベーション管理こそが重要

「売店で売る食品も、スタッフみんなが試食して、みんなが売りたいものを売る。お客様に説明するのは、社長じゃなくて現場にいる人たちですから。それを実践していくうちに少しずつその感覚が生まれだしたんです。問題に対してみんなで情報を共有して、解決に結びつけることが重要。

 例えば『お金をもっているシニア層に宿泊利用してもらうには』というテーマだったら、身近な70~80代の人たち=自分の両親に聞いてみる。そうしたら金婚式でどこにいくか迷っていた、といったアイデアが出てくる。みんなで問題意識をもって、個人のアイデアがあればそれを尊重し、それをグループで共有しながら解決していく。結果として、個人のモチベーションの継続にもつながる。さらに各部署でその情報を共有し現場のモチベーションを上げ続ける。常にセルフマネジメントとグループマネジメントを両輪でやり続けることで、売上も稼働率も目標に届くようになったんです。楽しく、モチベーションを高めながら真剣にやることが重要なんです」

 個人の考えを尊重し、チームでも良いところを共有してモチベーションを高め、組織を自由で独自のものにしようとする林の考えの根幹には、“人を信じる”という林特有の育ちの良さから来る、唯一無二の貴さを感じる。そのある種、天真爛漫ともいえる人柄に人は魅了されていく。

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サウナのクオリティが底上げされる武器とは

「例えばサウナだったら、ととのえ親方のように、強みを持った人たちをどう巻き込んでいくか。彼らの知見は大きな力になるわけです。実際にアドバイスを受けてストーブの上にロウリュ用の台を設置したんですね。そうすることで頻繁にロウリュをしなくても蒸気が出続けるので湿度が保たれる。

水風呂もそうで、水質が過去8回、日本一に認定された札内川の良質な水を使用しています。しかしながら以前は水質の良さの説明書を設置していませんでした。これは地元の人にとってはあたり前でしたが、外から見たらものすごい武器になるわけです。そこで得たノウハウを十勝の施設で共有すると、界隈のサウナのクオリティが底上げされるんですよ」