1人用の小さいヤカンに、トントゥ(サウナの妖精。通常サウナストーブに置く石でできたオブジェ)を入れるんです。そうすると、熱々のトントゥがヤカンでぐつぐつして、温度が上昇する。新しいトントゥの使い方ですね(笑)。
最初は鶏のスープを飲みます。そのあとにご飯を入れて、地元の山ワサビや、菜種油などで、どんどん味変させていくんです。食材は地元の農家さんと連携して開発しました。おいしくて当たり前の時代なので、浜田シェフや地元の食材や人を巻き込んでいくことで、付加価値を上げていく。
同時にマーケットを広げることも重要です。なので、ロウリュウチキンは、レシピを公開していきます。狙いはこのレシピを元に、その地域ならではのオリジナルなロウリュウチキンを創り、どんどん広げていくこと。あそこのロウリュウチキンうまいよね、あんなに売れてる、またこっちの方がうまかったよと、SNSで発信し合う。そうやってサ飯を核に、マーケティングやブランディングをしていくことも重要だなと思ってます。ガーデン街道を作ったときに、地元の色々なリソースを連携して広げることによって宿泊や飲食の売り上げ増にもつながり、大きなコミュニティができてくるのを感じたんです。独占せずにマーケットを広げることが重要です」
日帰り入浴パスポートのミソ
林の提唱する十勝サウナ協議会プロジェクトでは、サウナパスポートと称し、ロウリュが楽しめる地域の9施設から、4施設を楽しめる日帰り入浴パスポートを発行している。
「4施設という所がミソなんです。選ばれるという“競争”と、皆で発信という“連携”が、経済理論としては非常に重要で。地域でお客様を呼び込むシステムは作っても、仲良しこよしでは改善につながりにくいため、継続してお客様に来ていただけないのです。競争が生まれないと発展もしない。すなわち顧客が創造できない。
そういう意味では常に幸福度ランキングで上位にある、フィンランドには、サウナにはじまり、教育、ヘルスケアなど、まだまだ学ぶところは多いと思っています。アヴァントも定着し始めましたし、自然、食、人と、都会にはない良質なものが揃っているところも福祉国家フィンランドと通ずる。『十勝に行ったら元気になったからまた行きたいね!』って言われるようになったら最高ですね」